陽沈む国のアマン、アマンジェナ
モロッコはアフリカ大陸の北西部に位置する陽沈む国と呼ばれている。そのモロッコ中央部、世界遺産としても知られる都市マラケシュに、アフリカ大陸唯一のアマンリゾート「アマンジェナ」がある。
マラケシュの空港から車で約20分。アマンジェナのエントランスを抜けると、目に飛び込んで来るのは満面の水を湛えたバサンと呼ばれる貯水池と、バサンを囲むように配されたシンメトリーが美しいゲストパビリオン。水面に映った薄いコーラルピンクの建築物と、空に向かって伸びるパームツリーの景観は、まさに砂漠の中のオアシスと呼ぶに相応しいアマンジェナの象徴的シーン。
「Caidal Tent Dinner」
■カイダル・テント・ディナー
もとはオリーブ畑だったというアマンジェナの場所。樹齢千年以上という古いオリーブの木が、現在でも敷居内のいたるところに生えている。そんなオリーブガーデンの一角にテントを設置し、プライベートディナーをアレンジしてくれるユニークなアクティビティがある。夕刻、テントに続く小道には無数のキャンドルが並べられ、揺らめく灯りの幻想的な雰囲気の中、モロッコ民族楽器による生演奏と歌声によってゲストは迎えられ、その後はモロッコ料理でのおもてなし。
寒暖の差が一段と激しくなるこの季節。キンと張りつめた静寂の中、満天の星空の下ではアマンらしい最高のホスピタリティによる一夜限りのアラビアンナイトが繰り広げられる。異国情緒と共に、最果ての地マラケシュに来たことを実感することができる。
「Atlas Mountains Berber Village Experience」
■アトラスマウンテン・ベルベルヴィレッジ・エクスペリエンス
マラケシュの滞在で観光と言えば、世界遺産でもあるマラケシュ旧市街と大道芸人たちが集うフナ広場周辺がメジャーだが、アマンジェナではアトラス山脈のツアーもお勧めということで、マラケシュ郊外へと向かう。
アマンジェナから車で走ること約1時間半。遠くに見えていたアトラス山脈が、だんだんと近づいてくる。ツアーは、ローカルのウィークリーマーケットから始まる。地元の人が購入する衣料品から色とりどりの野菜、モロッコ名産のデイツ、グラス、やかん、バケツなどの生活必需品が並ぶ市場。
マーケットを見学した後は、ベルベルの村へ向けてのトレッキング。
乾燥した砂の大地、両脇にサボテンが生えた小高い丘に続く山道を30分ほど歩くと、途中視界が開けたポイントに。真っ青な空の下、雪を被った光り輝くアトラスの山並みは、これまでの疲れを吹き飛ばしてくれるほどの感動を与えてくれる。
そしてツアーのハイライトは、ベルベル族の集落一番のタジン料理の腕を持つというブラヒムさんの家でいただくランチ。日干しレンガと土壁で造られた伝統的なベルベルの家は、壁にはガラス窓がなくオープンエアで、床には色彩鮮やかなモロッコ調の絨毯が敷き詰められている。時折、室内を吹き抜ける冷えた風が、トレッキングで疲れた身体に心地好い。優しい笑顔の家人と無邪気で可愛いらしい子供達によって案内された場所はリビングルーム。ソファーに座るよう促され、ブラハムさんによる甘いミントティーでのおもてなしはモロッコスタイル。自家製ミントの爽やかな香りに砂糖を入れた甘いお茶で一息つくと、ランチタイムの始まりである。用意されている皿やグラス、カトラリーは、すべてアマンジェナのダイニングで使われているものと同じ。聞けば、毎回このランチアクティビティの際には運んでくるのだと言う。
料理は地元産豆のスープから始まり、次々とモロッコ名物のメイン料理、タジンがテーブルに並ぶ。運ばれてきたタジン鍋の蓋を開けると、熱々の湯気とともに食欲を刺激するスパイスと食材の香ばしい匂いが立ちのぼる。中身はチキン、ビーフ、じゃがいも・にんじん・カボチャ・玉ねぎなどの野菜とクスクスである。ベルベル族の村を訪問し、本場のタジン鍋を味わう体験は、まさにアマンジェナならではのアクティビティと言えよう。
トレッキング時間はゲストの要望に応じてアレンジ可能。1時間程度のトレッキングとランチ、ヴィレッジで過ごす約半日のツアー。ベルベル族の人々の素朴な暮らしと、モロッコの伝統的な体感できるお勧めのエクスペリエンス。
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