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トスカーナのワイン街道を巡る
2017.05.09
ACTIVITY, FOOD & WINE

トスカーナのワイン街道を巡る

トスカーナは、州都フィレンツェを中心にピサやシエナといったいくつもの歴史遺産を擁するイタリアを代表する観光地であり、世界に名だたるワインの銘醸地である。どこまでも続く葡萄畑の丘陵と、小さな城や村が点在する美しい風景が続き、この地方を訪れるゲストは例えワイン好きならずとも、そのあまりにも美しい風景に魅了されるはず。そんなトスカーナには、1万を超えるワイナリーがあるというから驚きだ。

トスカーナは古いワイン産地でありながらも、現代のイタリアワインに新風を吹き込んだ州とも言える。この数十年来、伝統的な手法に守られてきたトスカーナの名前を一躍世界に知らしめたのは、「スーパータスカン」と呼ばれるイタリアにおけるワイン法の規定外で造られたワイン、DOCGを超えるIGTの誕生によってである。 それは、カルベネ・ソーヴィニヨンやメルロなどの国際品種で造る、まさにボルドースタイルの長期熟成型ワインのことだ。
トスカーナの中心部を抜けて、フィレンツとシエナを結ぶ「ワイン街道」は、この地方における人気の観光ルート。フィレンツェとシエナをベースに日帰りで巡ることも可能だが、せっかくなら、点在する歴史ある古城や村を改装したホテルに泊まり歩きながらトスカーナワインと料理を存分に味わいたいもの。
苗木に葡萄が芽生え始めた新緑の4月、キャンティ・クラシッコの2つのワイナリーを訪問した。

”カステッロ・ディ・フォンテルートリ”(Castello di Fonterutoli)

2007年に最新の設備と規模を誇る新しい醸造所が完成した、600年に渡る歴史を持つキャンティ・クラシッコの名門ワイナリー。
ツアーはワイナリーオーナーであるマッツェイファミリーの歴史と、マッツェイが手がけるワインのラインアップの説明から始まり、この地方でも最も美しいとされるセラーの案内へと続く。地形を生かした、グラヴィティーフロー方式のセラーは3階建ての建物の65%が地下に穿たれ、地下15メートルにある樽熟成庫は、鍾乳洞のような岩壁に天然の湧水が流れて適度な温度と湿度が保たれている。ひんやりとした空気と鼻孔を突く葡萄と木樽の芳醇な香りが何とも心地よい。地下の案内が終わると再び地上へと上がり、お待ちかねのティスティング。フラグショナルシップであるカステッロ・ディ・フォンテルートリを始め4種類を試飲した。所要時間は1時間半程度。

”バディア・ア・パッシニャーノ”(Badia a Passignano)

バディア・ア・パッシニャーノは、フィレンツェ中心部から車でわずか50分程度のところにある小さな村。891年からあると言う修道院に由来している村そのものが名門生産者であるアンティノリが経営するワイナリーであり、創業を開始した1385年から現在の当主である26代アンティノリに受け継がれて尚、家族経営のスタイルを貫いている。修道院の歴史ある建物とそれを取り囲む葡萄畑の景観は美しく、聞けばキャンティ・クラシッコの中でも最高のロケーションでアンティノリにとって特別な場所だと言う。ツアーはまず、ワイナリーの案内で葡萄畑の見学からスタート。そして、僧院の地下にある貯蔵庫へ。中世の時代に作られた貯蔵庫の壁は厚さ6メートルとの事で、空調などなかった昔から外気に左右されずに1年中一定の気温が保つことができた先人の知恵でもある。一番奥まった場所にある貯蔵庫は、ガリレオ・ガリレイが手がけたというから驚きだ。

そして、見学後のハイライトは、ワイナリーに隣接するオステリアでのテイスティングメニューによるランチ。オステリア・ディ・パッシニャーノは、ミシュラン1ツ星を持つ実力派レストランで、アンティノリが手掛ける5種類のワインとのペアリングがお勧め。
オリーブオイルティスティングから始まり、メイン料理まで、この村の”バディア・ア・パッシニャーノ”はもちろん、ティニャネッロやソライアといったスーパータスカンまで、それぞれに料理に合ったワインを提供してくれる。
洗練されたトスカーナ料理との相性は抜群で、ソムリエによって説明されるそれぞれのワインの個性や歴史的背景に、イタリアワインの奥深さやアンティノリの偉大さを感じざるにはいられない。ワイン街道を巡る際にはぜひとも立ち寄りたい一軒である。

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