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Amanusa Forever!
2017.12.22
HOTELS

Amanusa Forever!

WRITTEN BY HIROSHI.K

2017年もカウントダウンに入った頃、突如としてアマヌサ閉館のニュースが飛び込んで来た。
あのアマヌサがクローズするとは、想像だにしなかった信じがたい知らせである。
事の真偽を確認し、事実と分かるや、寂しさと郷愁の念が込み上げてきた。

初めてアマヌサを訪れたのは1997年9月のこと。今からちょうど20年前、アマヌサが誕生してから5年という時だった。

ゴルフ場を見下ろすヌサドゥアの丘の上にポツリと佇む一軒宿。遠くにヌサドゥアの海が見えるだけで、周辺にはホテルは疎か建物が何一つなかったように記憶している。

シンメトリーの空間に、眩い大理石のフロアが広がるエントランスに足を踏み入れた時の感動は、今でも忘れることができない。

「何て美しいホテルなんだ。」

確かにこう感じたことを覚えている。

そんな第一印象を、その後20年で世界の素晴らしいリゾートを経験してきたが、今でも変わらない思いとして持ち続けている。
アマヌサこそ”完成された世界で最も美しいリゾートホテル”だという思いを。

部屋の広さとデザインは全て同じ。プールの有無と、部屋からの眺望のみで宿泊料金が異なるというホテルを、それまでに聞いたことがなかった。

プライベートプールが付いたヴィラは当時の自分には新鮮で格好良く見えたし、ホテルから離れた場所にある浜辺をビーチクラブと称して車で向かうというスタイルは、不便だという思いを抱かせるよりも、ユニークでわくわくした気分を掻き立ててくれた。
世界中でビーチクラブを自慢するリゾートが増えたのは、間違いなくアマヌサがその原点だと確信している。

チューベローズという花の存在を初めて知ったのもアマヌサだった。夜になると甘い香りを放つ花の不思議をスタッフに尋ねて教えてもらったのがきっかけだ。

メインダイニングがイタリアンというのも、今から思えばかなり挑戦的で斬新な試みだったのではないだろうか。
歴代のGM、或いは気の合う仲間との会食を、美味しいイタリア料理とワインによって大いに楽しませてもらった。

アマヌサでの思い出とエピソードは尽きることがない。

ある日の朝、ホテルの敷地内で熱心に祈りを捧げる女性スタッフからこの場所に宿る神様の話を聞き、以来、滞在する度に見よう見まねで祈りを捧げるようになった。

小規模にして最高のホスピタリティ、ゲストは名前で呼ばれ、食事をしても都度のサインは不要。
そんな評判以上のサービスを体験し、何とも凄いホテルが出来たものだと心底感銘し惚れ込んだ。
そんな思いが高じて、1ゲストからパートナーへと関係は進化し、今に至っている。

あの時から、何回足を運んだかは見当もつかないが、アマンの中では間違いなく一番お世話になったホテルである。

チェックインの度にスタッフから掛けられる”Welcome back to your home”の言葉通り、インドネシアを訪れては家に帰るような思いでアマヌサに滞在した。

顔見知りのスタッフに迎えられ、時にはキッチンで料理を作り、バーでは自分で好みのカクテルを作らせてもらったりもした。

”ゲストが自分の家のように寛げる空間を”というアマンのコンセプトを、正にそのまま体感させてもらったという思いである。

この仕事を始めて来年でちょうど20年。アマンが誕生して30年という節目を機に全てのアマンを経験しようと計画していた矢先だけに、もう二度とアマヌサに泊まることができないと思うと残念でならない。しかしながら、当時は想像もしなかった新しい場所に、その後続々と誕生しているアマンに楽しませてもらっていることを思えば、これも歴史の1ページという思いで受け入れることにしたい。

アマヌサに出会ってからの20年の思い出と余韻に浸るべく、また伝説を創ったスタッフ諸氏に感謝の気持ちを伝えるべく、
2月の最終週はアマヌサで過ごす事にした。
きっと世界中から同じ思いを胸に集うゲストとの出会いもあることだろう。アマヌサを愛した人たちと共に、アマヌサの最後を見届けたいと思います。

 

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