
映画のワンシーンのような毎日 – LAに恋して

今も昔も世界中の人々を惹きつけてやまない刺激的な都市、ロサンゼルス。
その始まりは1781年にスペイン人が植民地として開拓し、”新しい夢を見る土地”として“El Pueblo de Nuestra Señora la Reina de los Ángeles”、即ち、天使たちの女王、我らが貴婦人・聖母マリアの街と名付けたのが起源です。
メキシコから独立し、アメリカ合衆国の一部となってからは鉄道が開通し、石油が発見され、大いに発展を遂げていきます。20世紀には映画産業が花開き、ハリウッドはアメリカのみならず世界中の人々にとって“夢と希望が叶う街”となりました。
歴史的な背景によって培われた多様性、人々の願いを叶える土地として、今日まで人々に大きな夢を与えています。
このようにロサンゼルスの魅力は語り尽くせませんが、カラリとして爽快な空気、エネルギッシュに燦々と降り注ぐ太陽の光、突き抜けるように澄んだ青い空へ向かって高く伸びるパームツリー… 空港を出た瞬間から全身で感じるロサンゼルスの空気だけで心が浮き立ちます。

空港から車で向かった先は、“プリティ・ウーマン ホテル”として今なお世界中の女性から羨望の眼差しを集める「ビバリーウィルシャー ア・フォーシーズンズ・ホテル」。1990年の大ヒット映画『プリティ・ウーマン』の舞台であり、エドワードとヴィヴィアンが一週間過ごしたペントハウスは、誰しも一度は滞在を夢見たはず。
ウィルシャーブールバードとロデオドライブの角に位置する、ネオルネッサンス建築の堂々たる建築物と特徴的な赤と緑のバブルオーニングが車窓から見え、錬鉄製の門を抜けてランボルギーニやフェラーリといった高級車がズラリと並ぶ車寄せに降り立つと、華やかで優雅な映画の世界に入り込んだ心持ちになりました。

ステーキレストラン『CUT』の前を通り過ぎると、重厚感のあるきらびやかなスワロフスキー・クリスタルのシャンデリアが印象的なロビーがあり、中央には存在感のある装花が飾られています。
チェックインをすませて部屋に向かうと、クラシカルな装飾の金色のエレベーターの中には『プリティ・ウーマン』の名シーンを彷彿とさせる真っ赤なエレベーターチェアが。映画のファンには嬉しいポイントです。

1928年創業の伝統と格式のあるホテルですが、2023年に大規模な改装を行い、395ある客室は古さを感じさせない洗練されたカリフォルニア・スタイルとクラシックなオールドハリウッドの魅力がバランスよく調和した、新しい姿に生まれ変わりました。ライトグレーを基調としたシックなインテリアと家具、大理石のサイドテーブル、優美な曲線を描くアールデコ調の照明、ボタニカルアート…。けっして華美過ぎず格調高いインテリアはセンスが良くとても快適です。贅沢に過ごすなら、ロサンゼルス最大級の広さを誇るペントハウスや、KESスタジオのカラ・スミスがデザインした6室のスペシャル・スイートがお勧めです。



ディナーは今ロサンゼルスで最も予約が困難なレストランのひとつと言われるステーキハウス『CUT』へ。ハリウッドスターもよく利用すると言う、プライベートダイニングルームにて食事を頂きました。デンゼルワシントンやブラッドピットといったハリウッドスターの写真が壁を飾り、ハリウッド感を満喫できます。
今回チョイスしたのは、厳選された最高級の牛肉を使った極上の和牛フィレミニョン ステーキ。丁寧に焼き上げられたミディアムレアの一品は、外はカリッと、中はジューシーで、口の中でとろけるような柔らかさで、噛みしめるたびに肉本来の旨味が溢れ出す至福の味わいです。牛脂で揚げたという、トリュフをまぶしたフライドポテトの付け合わせも絶品でした。

そして!食事中には何と、オーナーのWolfgang Puck氏がプライベートルームにあいさつに来てくださり、短い時間ではありましたが、会話を楽しむことができました。世界的に有名なシェフでありながら、謙虚で朗らかで気さくなパック氏。彼の料理に対する情熱とお客様への想いが、CUTの素晴らしい料理とサービスを生み出しているのだと実感しました。

翌日はロサンゼルスから少し足を伸ばしてサンタバーバラへ。ロサンゼルスから僅か2時間程度の距離にありながら全く異なる雰囲気を持ち、アメリカのリビエラとも称される風光明媚で穏やかな美しい港町です。
その道中、サンタ・イネス郊外の長閑な丘陵にブドウ畑が広がるワイナリー、フェス・パーカーを訪問しました。2月の訪問だったこともあり、残念ながら畑にはブドウの姿はありませんでしたが、それでも、広大な敷地と美しい景色は十分に楽しむことができました。



テイスティングルームでは、様々な種類のワインを試飲することができます。今回はフェス・パーカーの看板ワインであるピノ・ノワールとシャルドネをはじめ、4種類のテイスティングを楽しみました。いずれも口に含んだ瞬間、芳醇な香りが広がり、カリフォルニアのテロワールが感じられるふくよかなニュアンスが体を包み込みます。フェス・パーカー ワイナリーのワインは、サンタバーバラの温暖な気候と豊かな自然を表現していると感じました。ワイナリーのテラスは、うららかな午後の陽光を浴びながらのんびりとワインを楽しむビジターで和やかで平穏な空気に満ちていました。サンタバーバラを訪れる際には、ぜひフェス・パーカー ワイナリーに立ち寄っていただきたいです。



サンタバーバラでの滞在は、高台の上に建ち太平洋を見渡すことができる贅沢な眺望を持つエル エンカント ア ベルモンド ホテル。スペイン語で「魅惑的な」という意味があるエル エンカントは、ハリウッドセレブ達の隠れ家として長く愛され続けており、スパニッシュ・コロニアル風の建築はエレガントな華やかさがあり、美しい眺望と7エーカーという広大な庭園を持つ、穏やかで心地の良いリゾートです。エネルギッシュなロサンゼルスをおもいきり楽しんだ後、ゆったりと過ごすには最適です。

暖炉やテラスが付いている部屋もあり、たくさんの自然光が差し込む窓からはリスやキツツキが木々の間を動き回る様子が見え、オーク材の床や地元のクラフトマンによる木製の調度品はあたたかさがあり、心からリラックスをして過ごすことができました。ホテル内には広大な自家菜園や専用の乳牛が飼育されていて、新鮮なチーズやハーブを使った料理は美味しく、至福のひと時を過ごしました。
ホテルのテラスはまるで絵画の額縁のようでした。遠くには紺碧の海が広がり、息をのむほどに美しい夕焼けが空を染めていく。空は茜色から紫色へとゆっくりとグラデーションを描き、太陽が静かに沈んでいく。その光が海面をきらめかせ、まるで自然が奏でるシンフォニーのようでした。サンタバーバラの夕焼けは、私の心に深く刻まれました。いつかまた、この場所に戻り、同じように美しい景色を眺めながら、美味しいワインを味わいたいです。



音楽と映画の聖地ハリウッド、美術館やギャラリーがひしめき合う活気に満ちたアートシーン、野球やバスケットボール、アメリカンフットボールといったスポーツ観戦にショッピング…。何度訪れても新しい魅力があふれ、進化し続ける街。ロサンゼルスは、まるで万華鏡のように、いつも刺激と興奮を与えてくれるエンターテイメント都市です。
今回は、ロサンゼルスとサンタバーバラ、二つの顔を持つカリフォルニアの魅力を満喫できた旅となりました。それぞれの街で出会った人々との交流も、この旅を豊かなものにしてくれました。ロサンゼルスの活気ある街並み、サンタバーバラの穏やかな雰囲気、そして人々の温かさ。これらの要素が組み合わさって、忘れられない思い出となる旅となりました。
近い将来の再訪を願いつつ、次に訪れる際には、またどんな新しい魅力に出会えるのか、今から楽しみでなりません。


