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晩夏のコートダジュールへ
2025.03.31
FOOD & WINE, DISCOVERLY

晩夏のコートダジュールへ

WRITTEN BY HIROSHI.K

幾度となく降り立ったことがあるニース・コートダジュール空港も、思い返せば冬の閑散期が多く、夏のモナコに滞在するのは初めてのことだった。
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月の終わりとは言え日中の日差しは強く、独特の乾いた空気が地中海に来たことを実感させてくれた。
そんな夏の終わりのモナコには、モナコヨットショーが招き入れてくれたのだった。

毎年世界各地で開催されるヨット業界の関係者が一同に会するヨットショーの中でも、取り分け規模が大きく格式が高いとされるモナコヨットショーは、想像を越えるものだった。
普段からラグジュアリーヨットが所狭しと並ぶモナコマリーナも、この日ばかりはお祭り騒ぎの賑わいで、桟橋に繋げない何十隻もの船が沖合にアンカリングして訪問客を迎え入れていた。見たことがないサイズのスーパーヨットに度肝を抜かれ、ヨット業界の仲間との交流を楽しみつつ、マリーナを見下ろすホテル エルミタージュ モンテカルロで過ごした2日間だった。

モナコを離れて向かったのは、フランス、ロクブリュヌ=カップ=マルタンの山の上に建つメイボーン リヴィエラ。離れたと言ってもモンテカルロから車でわずか20分ほど走った場所である。

最初にこのホテルの存在を知ることになった断崖絶壁に聳え建つ全面ガラス張りの建造物の画像に衝撃を受け、モナコを訪れた際には宿泊しようと決めていたホテルだ。
それはまるで空中に浮かぶ要塞で、実際にチェックインすると眼下に広がるモナコの街と、紺碧の地中海を一望する大パノラマが待ち受けていた。全室に備わったテラスに加え、どの場所に居ても絶景を楽しむ事が出来る設計は、いかにも斬新でユニーク。

館内に散りばめられた現代アートは、淡いパステルカラーのインテリアとの調和を果たし、完全なる居心地の良さをもたらしてくれていた。

そして夢心地の中にもデジャブのような感覚に見舞われ、以前アマルフィー海岸に程近いラベッロのカルーソに泊まった時の記憶を懐かしく辿っていたのだった。

モナコの街に夜の灯りが燈り始めた頃、天空のバー“Le300”で夜風に吹かれながらシグネチャーのマンダリンギムレットで雰囲気に酔いしれ、マウロ・コラグレコが手がける“CETO”にて日本料理にインスパイアされた新鮮な地中海料理に舌鼓を打ちつつ、メイボーン リヴィエラでの夜は更けていった。

そして、今回のコートダジュールの旅ではもう一つ目指すべき場所があった。それはモナコから200キロ離れたエクス・アン・プロヴァンス郊外に佇むヴィラ ラ コスト。ここもまた、どうしても滞在しなければならないホテルだった。

それまで幾度となくヴィラ ラ コストの話題を耳にしてきていただけに、到着する前から期待が随分と高まっていた。様々なツールを通して一定の情報は得ていたものの、ここでも想像とのギャップの大きさに衝撃を受けてばかりの滞在となった。

200ヘクタールの葡萄畑を有するワイナリー、ドメーヌ・シャトー・ラ・コストを中心とした広大な敷地を誇る複合施設には、カフェやレストラン、ギャラリー、ショップ、そして世界的なアーティストによるアート作品の数々が点在し、それらを回遊しながら楽しむ多くの訪問客で賑わっていた。
そんな賑わいを避けるように、人影のない丘の上にひっそりと佇むヴィラ ラ コストの一画だけは、静寂に満ちた隠れ家というに相応しい特別な場所となっていた

レセプションに飾られた能面やジョージ・ナカシマの家具によって日本とのインスパイアを感じ、またチェックインしたヴィラスィートでは清潔感とプロヴァンスらしさが感じられ、ホスピタリティ溢れるスタッフとのやりとりと共に不思議な居心地の良さをもたらしてくれていた。
「ワイン、芸術、建築、ウェルネス、そしてガストロノミーに捧げられた大自然の楽園」がコンセプトとのメッセージ通り、過去に体験したことのないようなリゾートのスタイルと可能性を存分に体現させてくれる滞在となった。

そして、最後の夜のミシュラン1つ星、エレーヌ・ダローズでの7コースメニューのワインペアリングは、今回の旅の締めくくりに相応しい記憶に残るものに。

地元産の新鮮な野菜に拘ったファーム・トゥ・テーブルの数々の料理は、プロヴァンスの美しい自然を想起させるものばかり。繰り出される料理は女性ならではの繊細なタッチと見た目の美しさのみならず、テロワールの力強さが感じられ素晴らしいガストロノミー体験となった。

そして、一夜明けた早朝、ひとけのないシャトー・ラ・コストの森の中へ。一人、地図を片手に点在するアート作品の鑑賞を満喫させてもらった。

アヴィニヨンへ向かう途中、陽光降り注ぐエクス・アン・プロヴァンスの町での散策を楽しみつつ、晩夏のコートダジュールの旅を終えた。

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