旅が未来をつくる島、Song Saa
カンボジアのシアヌークビル港から高速船で約45分。コ・ロン諸島の一角に佇むSong Saa Private Islandは、豊かで美しい海と森に抱かれた“手つかずの自然“という言葉が似合う秘島のリゾートだ。
しかし、この楽園のような風景は20年前には存在していなかった。
かつて島は流れ着いたゴミに覆われ、周囲のサンゴ礁も深刻なダメージを受けていたという。
現在のリゾートを包む美しい自然は、“人の手によって”少しずつ取り戻されたものなのだ。
Song Saa Private Islandの物語は、2006年、創始者夫妻による島のゴミ拾いから始まった。創始者メリタ・クルマンダスはSong Saa Foundation(ソンサー財団)を設立し、海洋保全、地域支援、環境保全の3つの柱で活動を開始する。
そして2013年、リゾートが開業。メリタの目的は、ただ贅沢な滞在先を提供することではなく、財団の活動を持続させ、旅人たちを島の再生の旅の一員として招くことにあった。メリタ自らが建築家としてリゾートをデザインすることで、彼女の信念と美学がそのままリゾートとして形を取った。
驚くべきことに、椅子やテーブルといった家具、そして建物の建材に使用されている木はすべて廃材。壊れて使われなくなった地元漁師の船や流木などを再利用し、リゾートの建材のために伐採した木は一本もないという。
Sala Song Saa
重要な柱の一つである地域住民との共生。Song Saa Foundationが毎年実施している『Boat of Hope』プログラムではヨーロッパの医師団をリゾートに招いて、島民へ無料の診察や治療を提供しており、2013年のプログラム開始以来、5,500人以上の島民の命と生活を支えてきたそうだ。
リゾートに滞在するゲストは、コミュニティセンター『Sala Song Saa』を訪れ、村の人々と交流するプログラムに参加できる。自分たちがリゾートに滞在することが、実際にどのように島の再生と住民たちとの共生に繋がっているのかを肌で感じることのできる時間は、ゲストにとって意義深い体験となるだろう。
Coral Restoration Workshop
近隣の島に住む女の子と一緒に、財団の海洋生物学者からサンゴの再生について話を聞いた。Sala Song Saaでは、島の子供たちに環境をテーマにしたワークショップを行っており、彼ら自身が自分たちの住む環境を守る力を育てているそうだ。未来の海を守るリーダーとなる彼女の隣に座り、同じ空間と時間を共にできたことは、とても有意義な体験となった。
温暖化による海水温上昇で大規模発生したサンゴ白化現象の後、財団は欠け落ちたサンゴの断片を拾い集め、浅瀬の人工フレームにひとつずつ吊るして大切に育て始めた。この生き残ったサンゴたちが、気候変動に負けないリーフを作る希望になっているのだ。
House Reef Snorkel
話を聞いた後は、いよいよ海洋生物学者と一緒にシュノーケリングへ。リゾートの桟橋近くから海に入ると、色鮮やかなサンゴ、驚くほど大きなウニ、魚の群れが迎えてくれた。水上レストランの付近まで泳いでいくと、話に聞いたサンゴを吊り下げたフレームや、成長を記録するための数字付きカードが海の底に沈んでいた。フレームには藻が付き、小さなウツボのような生き物が住み着いている。人工物が海の一部になり、自然に還ろうとしていた。その光景に胸が熱くなり、綺麗な魚を眺めるだけでなく、背景にある問題を知って、実際に自然を守る姿を見ることができる貴重な経験となった。
Koh Bong Rainforest Adventure
Song Saaでは、海だけでなく、島の豊かな森も守られている。
リゾート内のディスカバリーセンターで、財団のナチュラリストが島で採れた植物の標本などを次々と見せてくれた。薬として使われてきたものの効能を聞き、香りを嗅ぎ、それらを調合したお茶を振舞ってもらい、植物が持つ力を五感で味わった。
その後、ナチュラリストと共にリゾート島と繋がった長い桟橋を渡って、Koh Bong(ボン島)の熱帯雨林へ。一年のうちほんの僅かな時間しか咲かない珍しい花や、このエリア特有の植物を見つけては立ち止まって教えてくれた。島はリゾートのプライベート自然保護区として守られており、財団の専門チームが多様な生物種やその生息地を守るための活動を続けている。
Breakfast With Birds
翌朝、夜明けとともに再びKoh Bongへ。ジャングルの中に造られたRaw Barに到着すると、海を見渡せるテーブルに、前日バトラーのYilyさんにお願いしておいた朝食がセッティングされていた。季節のフルーツ、スモークサーモンベーグル、スイートポテトハッシュブラウン…。新鮮な地元の食材で作られた美味しそうな朝食と、そのとなりには双眼鏡が。
ジャングルが目覚める音を聞きながら、双眼鏡で海の上を飛ぶ鳥たちの姿を探す。色鮮やかなサイチョウやカワセミが、木々の間を抜けて海へと飛んでいく。早朝の柔らかな光の中で鳥たちを見つけるたび、ナチュラリストが静かに解説してくれる。鳥の声、波の音、風の音に包まれながら、目の前の料理をゆっくりと味わう。朝の清々しい空気と自然の真っただ中でいただく朝食は格別で、とても贅沢な時間だった。
Bioluminescence Trip
月明かりの無い真っ暗な夜、桟橋からボートで出発した。15分ほど走ると、ボートが切る波が徐々に青白く輝き始める。「生物発光」と呼ばれる現象で、刺激を受けて発光するプランクトンが波に反応して光を放っているのだ。
シュノーケルのマスクを装備して、ガイドと共に海へ。海中を覗くと、動かした手足に青白い光の粒が纏わりついている。手足を大きく動かすと、大量の光の粒が発生し、まるで魔法の杖かティンカーベルの羽の鱗粉のよう。「海の中に宇宙が見えるだろう?」とガイドが笑う。ふと空を見上げると、空一面に無数の星が輝いていた。海に浮かんでいると、体中を星に包まれて宇宙を漂っているような、幻想的な感覚に包まれる。
この光景は偶然ではなく、プランクトンが光を放つのは海が健全である証。20年かけて保護してきたからこそ、夜光虫が輝くことができる豊かな海になったのだ。
かつて贅沢とは、消費することだった。しかし、お客様のおひとりがこう話されていた。「地域に還元される仕組みを作っている場所でお金を使うことが大事なんです」と。
世界でも日本国内でも、環境や社会への還元を目的とした旅が新たな価値として定着しつつあり、そうした旅の選択そのものが、環境保護に、教育に、医療に、自然の再生へとつながっていく。自らがその循環の一部に加わることが、新しい贅沢さの価値としてなっている。
以前はサステナブルという言葉に「制約」や「我慢」を想起する向きもあったかもしれないが、わたしがSong Saaで過ごした時間は、正反対の「豊かさ」そのものだった。
『この輝く海と豊かな森を未来の世代に残したい』、その想いが島のあちこちに力強く息づいている。
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