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アマンコラを巡るブータンの旅
2024.04.05
DESTINATIONS, HOTELS, ASIA

アマンコラを巡るブータンの旅

WRITTEN BY HIROSHI.K

ブータン王国にアマンが進出して20年の節目となる20241月、8日間で3つのアマンコラ ロッジを巡るべくブータンの玄関口パロに降り立った。四季があるブータンの1月は日本と同じ真冬に当たり、気温は低いものの晴天率が高く、空気がキリッとしていて何とも清々しく感じられた。
バンコクからパロへはドゥルクエアーの直行便で3時間のフライト。“ゴと呼ばれる民族衣装を身にまとったアマンコラ専属ガイド、サンゲイとドライバーのソナムに出迎えられ、最初のアマンコラ ロッジがあるティンプーへと向かった。

標高2,500メートルの高度に身体を慣らす意味もあって、首都ティンプーの街並みを一望できる松林の丘陵を数時間かけてトレッキング。
滞在中幾度となく目にすることとなった経文が記された5色の旗ルンタは、平和と健康、幸福を祈願して掲げられる仏教信仰の証で、青は空、白は雲、赤は火、緑は水、黄色は地を表しているとのこと。風になびく無数のルンタと渓谷の間に栄えたティンプーの街並みの風景が、仏教大国ブータンに来たことを実感させてくれた。
一方で、山を下りて町を歩けば、“ゴを着用することなくスマホを片手に闊歩する若者を多く見かけた。幸福の国と呼ばれて久しいブータンも、グローバリゼーションの波が押し寄せてすっかり発展した様子。更なる発展の途上にあるブータンの未来の姿を思うと、古き良きこの国の風情が残る今来られたことが喜ばしく感じられた。

サンスクリット語で「平和」を意味するアマンと、ゾンカ語で「巡礼」を意味するコラを合わせたアマンコラは、ブータンに点在する5つのロッジの総称で、パロ、ティンプー、プナカ、ガンテ、ブムタンの各ロッジを巡りながら土地ごとにブータンの魅力を感じることを目的としたアマンでは唯一のユニークなスタイル。
パロ、ティンプー、プナカの3か所を巡る今回の旅は、アマンコラ ティンプーロッジから始まった。松林に囲まれた丘の上に建つアマンコラ ティンプーは、重厚な石造りと白壁が美しい全16室のロッジで、高低差を活かした空間演出と直線美が際立つデザインはいかにもケリー・ヒルらしさを感じる。木の温もりと素朴さが感じられる室内は十分な広さで至ってシンプル。中央に設えられた伝統的な薪ストーブ“ブカリ”は、朝夕冷え込むこの季節には有難く、燃える薪の音と香りに癒され冬のブータンの魅力を一層感じることができた。

アマンコラでの滞在は、専属のガイドを伴った空港送迎に加えてロッジ間の移動、観光や各ロッジでの基本的なアクティビティ、そして全ての食事と飲料が宿泊代金に含まれるオールインクルーシブ。食事メニューは、いずれもブータン料理とウェスタン料理に分かれていて、コース料理もしくはアラカルトを自由にチョイスして楽しむことが出来る。スパイシーな味付けが特徴のブータン料理はアレンジが加えられていることもあって思いのほか食べ易く、ロッジによってはタイ料理、インド料理のオファーもあり、8日間の滞在中は飽きることなく、ハウスワインと合わせて大いに食を堪能させてもらった。そして、各ロッジではバラエティに富んだスピリッツとリキュール類のラインナップに加えてシグネチャーカクテルも楽しみの一つ。夕食前にカルチュアルプログラムと称して披露されるヴィレッジの住人による伝統舞踊、そして夕食時にどこからともなく聞こえてくる伝統楽器の生演奏が、カクテルの余韻と共にブータン旅情を一層高めてくれたのだった。

ティンプーから道中標高3,140メートルのドチュラ峠を越えつつ向かったのは、古都プナカに建つアマンコラ プナカ ロッジ。雪が舞い凍えるような寒さだった山の風景が一変して、プナカにはのどかな田園風景が広がっていた。プナカ渓谷の標高は1,200メートルと5つのアマンコラ ロッジの中では最も低く、冬でも温暖で心なしか過ごしやすく感じられた。
アマンコラ プナカ ロッジへは、穏やかな流れのモ・チュ川に掛かかる吊り橋を渡って向かうユニークなアプローチで、客室数は12室と小さく、アマンコラ ロッジでは唯一温水プールが備わっている。伝統建築のファームハウスを中心に2階建てのゲストルームが点在し、ここには素朴な農村の原風景が広がっていた。

バラエティに富んだメニューが用意されているプナカは、アクティブに過ごすにはぴったりの場所。
国技アーチェリーの体験や、カムスン・チョルテン仏塔へのハイキング、ブータンで最も美しいとされる城塞のプナカ・ゾンへの訪問、モ・チュ川でのラフティング。そしてラフティングを終えた後のリバーサイドでのプライベートバーベキューランチはちょっとしたサプライズで忘れがたい思い出となった。

そして今回の旅の締めくくりはアマンコラ パロ ロッジにて。商業都市パロにあって、アマンコラ パロ ロッジが佇むのは郊外の松林の中。
ティンプー ロッジ、プナカ ロッジとほぼ同様のインテリアで、部屋数は24室。空港までは30分程度ということもあり、アマンコラを訪れるゲストにとってはゲートとなるロッジだ。
街の喧騒から離れた広大な森の中に建つ1軒宿で、敷地内には小川が流れ、正面には17世紀に建てられたドゥルギル・ゾンが鎮座し、遠く山間にブータンヒマラヤの雄大な眺めを拝むことができる素晴らしいロケーション。

信仰の国ブータンらしく、いくつもの寺院を巡ったものの、ハイライトはやはりチベット仏教信仰の聖地、タクツァン僧院(通称:タイガーズネスト)へのトレッキングだ。早朝、小雪が舞う中のタクツァン僧院への訪問は、荘厳でドラマティックなアクティビティとなった。麓から途中までは馬の背にまたがって40分ほど登り、そこからアップダウンが激しい参道を標高3,120 メートルの断崖絶壁に建つタクツァン僧院を目指した。1時間半ほどかけて登り薄雲の中から現れた僧院は何とも幽玄な趣きで、330年も前に建てられたことを思うとミステリアスにさえ思えてくる。虎にまつわるいくつもの伝説が語り継がれ、今尚ブータン国民にとって篤い信仰の地である特別な場所だ。冷え切った院内にあるいくつもの境内にて、ブータンの作法に則ってしばし神聖な気持ちでお参りさせていただいた。

往復4時間のハイキングを終えてガイドのサンゲイに案内されたのは、アマンコラスタッフが待つゲストの専用ベースキャンプ。テラス席があるロッジさながらの施設で、快晴の下で遠くタクツァン僧院の雄姿を眺めながらアマン流のブータン料理に舌鼓を打った。

お国柄と人の気質もあってか、アマンの原点とも言えるホスピタリティを終始感じる旅となった。ガイドのサンゲイとドライバーのソナムは到着日に空港で出迎えられ、出発の日に空港で別れるまでずっと世話になり、各ロッジのスタッフの笑顔ともてなしにも感謝の念が湧いた。滞在中はまさに至れり尽くせりで、ロッジが変わっても同じホテルに泊まっているような感覚を持てたのはアマンコラの妙。一気通貫のシームレスなサービスと安心感こそ、アマンコラに泊まってブータンを旅する醍醐味と言えるだろう。
最後の夜はスタッフの粋な計らいで“ゴ”を着用しての夕食、そして出発の朝は背後に雪で覆われた聖峰チョモラリがくっきりとその雄姿を見せてくれた。次は今回泊まれなかったガンテとブムタンでの滞在を約束して現地を後にしたのだった。

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