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日本オイスター紀行【後編】
2021.07.31
FOOD, DESTINATIONS, HOTELS

日本オイスター紀行【後編】

WRITTEN BY Naomi.T, Mika.K, Mami.H and Hiroshi.K

”Farm to Dish”を体験するため、大崎上島へ 

広島県竹原の海の駅から、心地よい瀬戸内の風を感じつつフェリーでの移動を楽しむこと約30分。
瀬戸内海に浮かぶ大崎上島。その島の最北部にある塩田跡の池で牡蠣と車海老の養殖をしているのがファームスズキだ。
そして養殖場の脇には、まるで海外にでもやって来たかと錯覚するような洒落たオイスターバーが併設されている。
”Farm to Dish“ その名の通り、日本初とも言える養殖場直営のオイスターバーだ。

開放感のあるオイスターバーのテーブルに運ばれてきたのは、大きなプレートにこぼれんばかりに盛り付けられた新鮮な牡蠣、車海老、蟹!
小ぶりの牡蠣は「広島プレミアムトップかき」にも選ばれた、国内唯一の塩田熟成牡蠣”クレールオイスター”。
生後1年未満の牡蠣は、小粒な身に芳醇な旨みと柔らかな甘みがギュッと詰まっていて、相性抜群の白ワインで流し込むように味わう。小ぶりの身ならではのツルっとした喉越しがたまらない。
そして、広島県唯一の車海老養殖場でもあるファームスズキで育てられた海老は強い甘みがあり、しっかりと詰まった濃厚なミソが特徴。殻にまで甘みがあり、頭の先から尻尾まで全て食べられてしまう。
長閑で緑豊かな山々に囲まれ、瀬戸内の穏やかな風を感じながら、テーブルから見える塩田跡の池で育てられた幸を味わう。まさに至福の瞬間だ。

フランスでは塩田跡(クレール)を利用した牡蠣はグリーンオイスター(緑牡蠣)と呼ばれ、最高級ブランドに位置づけられている。
日本で塩田跡を利用したクレールオイスターの牡蠣養殖を行っている唯一の養殖場がファームスズキ。
2011年にこの塩田跡の池と出会い、その環境の豊かさと美しさに一目で惚れ込んだ鈴木さんは、塩田跡の池を環境に寄り添った方法で管理し、有機的な手法に徹底してこだわった養殖を行っている。
話を伺う中で、養殖している牡蠣や海老、あさりや蟹を何度も「かわいい」と笑顔で語っていたのが、どれほどの愛情を注いで育てているのか伝わってくるようで、とても印象的だった。

ファームスズキで養殖された牡蠣や車海老は、大崎上島に向かうフェリーターミナルにある「ファームスズキ ベイサイドキッチン タケハラポート」でも味わうことが出来る。
さらに、広島にはなかなか行けない・・・という方にも気軽にファームスズキの牡蠣を味わうことが出来るようにと、構想から実現に至るまで3年かかったという大変ユニークな試みを行っている。それが牡蠣の自動販売機だ。現在、東京・虎ノ門に設置されている自動販売機では、ファームスズキで育てた生食用の牡蠣や牡蠣フライを提供している。
山に囲まれた海辺の塩田の風景を想像しながら、瀬戸内の風味を感じてみてはいかがだろうか。

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瀬戸内に栄えた塩の町 NIPPONIA竹原製塩町に泊まる

一歩足を踏み入れるとそこは漆喰壁と飴色の格子が続く、いにしえの町並み。
安芸の小京都と呼ばれる広島県竹原。
かつて、製塩業や酒造業が栄えた場所であり、現代の暮らしと歴史文化がバランスよく残り、歩けば歩くほど、竹原の新たな魅力を発見できる。

その町並みの中、今回のディスティネーションでもあるブティックホテルNIPPONIA HOTEL竹原製塩町が佇む。
町並み保存地区に点在するこのホテルは、フロント & ダイニングのHOTEI棟、宿泊のためのMOSO棟とKIKKO棟の3棟からなる。
明治期の趣をそのままにリノベーションした客室は、蔵を使った1棟貸しを含む全10室。
「旧芸備銀行(現広島銀行)」を活用した建物もまた、昔の竹原の栄華を感じられる空間として現代に引き継いでいる。

至福の時間は、何といっても風情ある建物の中でいただくNIPPONIA竹原製塩町こだわりの食事だ。
塩にこだわり、瀬戸内海の食材をふんだんに使った料理の数々は、味覚はもちろん五感すべて、そして知的好奇心までをも満たす特別な経験をさせてくれる。
瀬戸内海は言わずと知れた海産物の宝庫。牡蠣はもちろん対岸のファームスズキから運ばれ、タコやアナゴ、鯛や鱸など、四季折々の海の幸が一年を通じて楽しむことが出来る。

そして食事の際にお勧めなのが、竹原に現存する3つの酒蔵で造った日本酒とのペアリングだ。
日本のウィスキーの父と称される竹鶴政孝の生家である竹鶴酒造、藤井酒造、創業150余年の中尾醸造と、地元の日本酒を一度に楽しむことができるのもNIPPONIA竹原製塩町に泊まる魅力で、レストランスタッフのユーモア溢れる説明とともに、食事を楽しんでいただきたい。
近年注目を集めている瀬戸内にあって、日本酒、塩、豊かな食材が織りなす美食を求めて竹原を訪れてみるのはいかがだろうか。

「ひがた美人」との出会いを求めて

ひがた美人との出会いを求めて大分県中津市へと向かった。瀬戸内海最大の干潟、中津干潟の沿岸から2キロほど離れた沖合にずらりと並ぶ養殖カゴ。大分県漁業協同組合中津支店が日本初の干潟養殖牡蠣として手掛けているブランド牡蠣が「ひがた美人」である。
干潮時を見計らって訪問し、支店長の柳田いずみさんに牡蠣棚を案内していただいた。夏の陽気の6月下旬、胴長を装着し、日焼け対策を万全にいざ干潟へ。ぬかるんだ潟の泥に足を取られつつ、バランスを保ちながら牡蠣棚を目指して2キロほど歩くことに。そして牡蠣棚に着くと、カゴを開けて牡蠣の稚貝を手に取り、干潟で育つ牡蠣のメカニズムを知る。
汗を拭きつつ泥にまみれながら美しい牡蠣と出会う、ちょっとした非日常の忘れがたいエクスペリエンスとなった。

潮の満ち引きを活用し、海に入ったり出たりを繰り返しながら育つ「ひがた美人」。
干潮時には燦燦と降り注ぐ太陽の光と風に必死に耐えながら牡蠣はぎゅーっと殻に閉じこもり、潮が満ちて再び海水に浸かった時には思いっきり栄養を蓄えようとすると言う。
この干満時の牡蠣の特性を活かした効果によって太い貝柱をつくり、歯ごたえがあってぷっくりとして甘い味わいの牡蠣に育つ。
遠方へ生のまま出荷しても、新鮮な状態で手元に届くと評判が高いのは、殻を強く閉じることに慣れている「ひがた美人」ならではのこと。

シングルシードオイスターで育てられた「ひがた美人」は、殻が美しく女性や子供にも食べやすい小ぶりなサイズ。
更に殻に深みが出て身が肉厚となり、小ぶりながらも濃厚な味になる。
健康な体、美肌や美髪にはなくてはならないビタミンBが豊富で、美白効果もあるとされ、アンチエイジングやダイエット効果にも優れて冷え性、貧血対策にも良いそうだ。
話を伺いつつ実際に頂いてみて「ひがた美人」の名前の由来が何となく見えて来たような気がする。
女性にこそ食べて欲しい「ひがた美人」がキャッチフレーズ。いっぱい食べてますます健康に美人になっちゃいましょう。

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ホリスティックカフェにて

日中に歩いて沖合いまで行ったのが信じられないくらい、日が沈むころになると潮が満ちて干潟はすっかり海と化していた。
柳田支店長の強い勧めもあって、中津への訪問が決まった時からディナーはホリスティックカフェと決めていた。
中津干潟を一望できる海沿いの白い一軒家スタイルのカフェは、この海に魅せられて神奈川から移住した自然療法家の神成さんによって営まれている。
テラスに出て潮風に吹かれながら沈み行く夕陽を眺めつつ、この海の豊かさについて語らい合う。日中の暑さが嘘のような心地よく静寂に満ちたひとときだ。

ホリスティックカフェは、シェフでもある神成さん自らのヴィーガン生活を通じて得た経験と哲学を基に、卵や乳製品、砂糖、添加物は一切使わず、ホールフード、ローフード、発酵食をベースに大分県産のオーガニック野菜と旬の食材に拘った文字通り”ホリスティックな食”を提案している一客一亭のカフェ。
好みの食材を使った料理コースの要望にも答えてくれるということで、ひがた美人と中津の海で獲れた新鮮な魚介類を使ったメニューを事前にリクエストしておいた。
牡蠣と野菜のスープ、平目の昆布ジュレをのせたカルパッチョ、牡蠣に海藻をまとわせたフリッター、鱧と海老のグリーンソース、牡蠣とビーツの冷静パスタ、それぞれのお皿をオーガニックワインと共に堪能した。

どんなにシンプルで味気ないかと思いきや、素材の持つ風味を最大限に引き出させたナチュラルで何とも優しい味わいの料理ばかりで、食べている最中から健康になれたような気がする不思議な食体験だった。
そして、食事の最後は、ロースイーツを当日の体調に合わせて調合してもらったハーブティーと共に。食事を終えるころ、ホリスティックの意味が少しわかったような気がした。
ひがた美人を求めて出会った中津の海、そして中津の海に育まれたホリスティックな料理。

海外へは行けずとも、旅はいつも出会いと共に新鮮で未知なる感動をもたらしてくれるということを再認識した中津の夜だった。
ひがた美人とホリスティックな料理を頂くのを目的に、再度中津を訪れることになりそうだ。

千年の歴史を紡ぐ温泉郷を一望 ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ

中津港から車を走らせること約1時間、地獄温泉めぐりで有名な別府を訪れた。
2019年に別府湾を一望できる高台に誕生したANAインターコンチネンタルホテル別府リゾート&スパを宿に選んだのだった。
竹細工でも有名な街として知られエントランスをくぐると、そこには雲上に住む、天女の羽衣をイメージして作った、竹細工職人、中臣肇氏の作品「雲上」が出迎えてくれた。

別府は土地の高低差で、雲海ができる場所でもあり、ホテルのチェックイン時に見える街の所々から、温泉の煙がゆらゆらと天へ立ちのぼる光景は、とても風情がある。
温泉、食、ワインとまだまだ知られていない魅力が溢れている別府にあって、竹細工は欠かせない伝統工芸だとスタッフは言う。ラウンジの壁は竹細工が施され、各部屋には地元の竹細工職人によって制作されたランプシェードや温泉に向かう際に使う湯カゴがあり、随所に和のエッセンスを取り入れたモダンで居心地のいいインテリアとなっていて、館内のアートツアーでは、作品やクラフトマンのストーリーも聞きながら十分楽しませていただいた。

全89室の4カテゴリーのゲストルームと4タイプに分かれたスイートの中で、とりわけお勧めなのが3室しかないパノラマスイート。バルコニーに設置されたプライベート温泉露天風呂に浸かりながら、270度の別府湾と山並み、そして市街の絶景を眼下に眺めることができる。
温泉を満喫した後、パノラマビューを独り占めしつつ地元安心院のスパークリングを頂きながら過ごした夕暮れ時は至福の時間となった。

温泉とスイートでの滞在を楽しんだ後は、インターコンチネンタル別府ならではのSPAも体験していただきたい。日本に初上陸したHARNNのSPAはタイブランドで、日本では別府が初めて。
また、ザ・バーでは、クラウディーベイや、ルイ・ロデレールなどとのコラボ企画や、季節に合わせた食を楽しむ企画などが目白押しで、滞在を飽きさせない魅力に満ちている。
日本有数の温泉地に誕生したANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパは、別府を訪れるモチベーションを掻き立ててくれるディスティネーションリゾートだということを今回の滞在で感じることとなった。

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近年、日本各地でブランドオイスターが続々と誕生していることを知り、2021年春から初夏にかけて至高のオイスターを求めて旅に出た。
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そして上質の牡蠣を求めて南から北へ。獲る漁業から育てる漁業へ挑戦しているのが北海道西部、日本海側に位置する余市町を訪れた。

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