上海の古きと新しきをたずねて
休暇の行き先は上海。
自分へのご褒美はビジネスクラスでの空の旅、それはわずか3時間のフライトだった。
上海での滞在は、アマンとリッツカールトンで過ごすことにした。
郊外のアマンでは都会の喧騒を離れたひとときを過ごし、上海の中心地にリッツカールトンで大都市の息遣いも感じる、ちょうどオンとオフのようなコントラストのような旅程にした。
上海にあるアマンの名前は「アマンヤンユン」。ヤンユンは、中国語で書くと「豊かな雲」という意味になるそうだ。敷地内には、とても大きく立派な楠がいたるところに点在する。話を聞くとどれも樹齢500年以上。しかも、ダムの建設により伐採を余儀なくされていたものを、わざわざ700kmのみちのりを運んだというなんとも壮大なストーリーである。その大きな楠と同様にホテルを構成する建物も、これまたかなりの年代者で、木と同じ運命にあった明・清王朝の時代のものを移築したものだという。
敷地内を散策する。レストランなどのパブリックエリアは回廊のようになっており、近代的なシンメトリーなつくりになっているが、その中にあって、丸窓からのぞく中庭が、歴史ある雰囲気をかもし出している。
散策を終え、ヴィラに戻る。ヴィラには門があり、完全なプライベートな空間となっている。その中には小さな池とプールが併設されており、プールの一画には、温水のジャグジーもついている。冬のプールの水は冷たいが、ジャグジーはさながら露天風呂に入っているようで、とてもリラックスできる。
そんな歴史を色濃く感じられるアマンヤンユンでは、版画のプログラムを体験した。
さながら子供の頃に授業で版画を作ったことを思い出した。といっても、版画を作るのではなく、いわゆる「摺り」の行程。先生のお手本をもとに、自分も同じようにやってみるが、なかなかきれいに写らない。縁起物の絵の版がいくつかあり、新しい年の始まりが穏やかであるようにとの願いをこめて、「調和」を意味するという“蓮”の絵を選んだ。
郊外でのんびりと過ごした後は、上海中心部のリッツカールトンへと場所を移す。
上海での夜、それはすばらしい夜景とともに始まる。ルーフトップバーから眺める景色は、上海テレビ塔と同じ目線の位置。摩天楼を見下ろすその夜景は、まさに百万ドルに匹敵する。
上海を流れる黄浦江の対岸では、ライトアップされた旧市街である外灘エリアの西洋風建築がひときわ浮かび上がって見える。バーで軽く食前酒をひっかけたあとに待っているのは、中華のフルコース。あわび・つばめのスープなど中国ならではの食材をいただき、最後のごまだんごまできっちり堪能するころには、夜もずいぶんと深くなっていた。それでもなお、外の明かりは衰えず、上海の夜はなかなか眠らない。
翌朝、かねてからしてみたかった、旅先でのランニング。
カバンの1/4を占領してまで、わざわざこのためだけに靴とウェアを持参していた。
ストレッチを十分にしてから、ホテルを出る。ひとまずは黄浦江を目指してコンクリートロードを走った。川沿いまで来ると、おどろくことにきちんとしたランニングコースが用意されていた。競技場のようなクッション素材でコースができており、硬いコンクリートと違って足にやさしい。自転車コースまで併設されているから、ランニングも自転車も世界的に流行っているのだろう。コースの途中では、レストハウスも設置してあり、ランナーにとっては至れり尽くせりの世界である。
いつもよりも少しペースを落とし、景色を楽しみながら走る。昨日見た対岸のバンドエリアは、夜とはまた違う顔を見せる。真下から見上げる上海テレビ塔は、昨夜見下ろしていたときよりも、ずいぶんと大きく感じた。太極拳をする老人を見かけると、自分がいま中国にいることを実感させられる。
ひとしきり汗を流してから、ホテルに戻りシャワーを浴びる。
帰りのフライトの時間を気にしながらも、今回の滞在を振り返りつつ、
頭の中ではすでに、次の旅先のことを考えている。。。
RECOMMENDATIONS
非公開: 悠久の歴史と自然 AMANYANGYUN 3泊4日
上海中心部から車で約一時間、森の中に佇むアマンヤンユンは喧騒とは無縁の静謐な隠れ家。 明・清朝時代の伝統家屋を移築し再建されたヴィラや樹齢1,000年にも及ぶクスノキ林など、悠久の歴史を感じることのできる極上のリゾートです。
非公開: カルチュラル アンド スピリチュアル チャイナ 4泊5日
中国の芸術や伝統、仏教文化に触れることのできる2箇所のアマンを巡るプランです。樹齢1000年と言われるクスノキに抱かれたアマンヤンユン、何百年もの歴史を持つ村の建物や暮らしを復元したアマンファユンで、精神的に満たされる癒しのひと時をお過ごしください。