
世界が注目するアジアの最新カペラ

カペラ ホテルズ アンド リゾーツは、リッツ カールトン ホテルの創業者であるホルスト・シュルツ氏が、最高級を求めるゲストに最適なラグジュアリーサービスを実現することを目的として創設したホテルブランド。
英国統治時代のコロニアル様式の歴史的建造物をリゾートホテルとして改修し、2009年にカペラ シンガポールを開業させたのを機に、アジアで8つのホテルを展開しています。
名の通ったチェンホテルではいつもと同じ安心感を得られる一方で、個性的なホテルと出会う機会が減ってしまった昨今、カペラは一つのブランドの下、ユニークかつ斬新でエッジの効いたホテルを世に送り続けています。
それぞれのホテルには独自の際立つコンセプトが掲げられ、その場所にしかない圧倒的な存在感を醸し出すカペラでの滞在は、そのどれもが記憶に残るものとなります。

2024年4月1日に台北に誕生したCapella Taipei(カペラ台北)。今、世界が注目するカペラの最新プロパティが台北に描き出したのは、まるで一幅の静かな絵画のような濃密な空間でした。
カペラ 台北の世界に足を踏み入れた瞬間、そこには、繊細で静かな豊かさが漂っていました。到着後に案内されたのは、カペラの象徴でもあるリビングルーム。柔らかなソファに腰掛け、台湾茶と菓子を手にしながらチェックインを迎え、優雅な滞在の始まりに胸が高鳴ります。リビングルームの外はオープンエアのプールがあり、台北の街並みと彼方にそびえる台北101を望むパノラマは壮観です。
館内を彩る、茶、緑、青……自然の色をまとった壁画は、フランス人女性画家がホテルに一か月ほど滞在して台北の大地や湖、山々をテーマに手作業で描き上げたというアート。 “人の手の温もり”こそが、このホテルの本質なのだと、静かに教えてくれます。



全86室―そのどの部屋も、14階から16階という高層階に位置しています。
まるで都会の空に浮かぶかのように、台北の街を見下ろす客室からの眺望はこのホテルが持つ“贅沢”の象徴かもしれません。大きな窓から差し込む自然光が、落ち着いたトーンで統一されたインテリアにやわらかく溶け込み、居心地が良く快適です。室内は最新のAIシステムが完備されており、カーテンの自動開閉や照明の調整もスムーズ。テクノロジーが静かに寄り添うことで、滞在の快適さがスマートに支えられています。目を引いたのはミニバーのセレクション。台湾が世界に誇るクラフトウイスキー「KAVALAN(カバラン)」。旅先の土地を、五感で味わう―そんなカペラの“キュレーション精神”を、ここでも感じることができました。



滞在中のディナーで訪れたのが、「バンヤンツリーの下で人々が集い、語り、食を共にする」―そんな台湾の人々の風習にインスパイアされた広東料理レストラン「Rong Ju」。
この夜のもうひとつの主役は、台湾茶。11種類もの茶葉の説明を聞きながら、香りを確かめつつ選びます。魚料理までは軽やかな金萱烏龍茶、肉料理には蜂蜜のような深い味わいを持つ東方美人…と、ワインのペアリングさながらの体験が用意されていました。白磁に朱をあしらった茶器も、持ち手が熱くならないよう底部を長く設計するという心配りに、 “ホスピタリティの美学”を感じます。
料理はどれも上品な味付けで、特に心に残ったのは、蟹爪の料理。キャビアと金箔を纏った蟹の身に、泡一つ立たせず仕上げた極上の卵ソースが絡み、滑らかな舌触りと深い旨味に思わずため息が漏れました。ここでの一夜は、台湾の豊かな文化に抱かれるような体験でした。
カペラ 台北での滞在は、洗練された美しさのなかにも、あたたかな旅情を感じるひとときとなりました。



そしてアジアにおけるもう一つの最新カペラとして紹介したいのは、ハノイの旧市街の中心に佇むCapella Hanoi(カペラ ハノイ)。
街の中心でありながらも緑多い閑静なエリアに佇む個人の邸宅は、2022年にハノイのオペラハウスにインスパイアし設計されたアールヌーボーとアールデコが美しいホテルへと生まれ変わりました。
煌びやかなエントランスからホテル内に足を踏み入れると、まるでオペラ座の舞台装置の中に迷い込んだかのような演出に、心躍らされることになります。
47室のゲストルームの全てには、1920 年代のオペラの黄金時代に活躍した伝説的なアーティストや作曲家、デザイナーをモチーフにした名前が冠されています。ホテル内に散りばめられたアンティークグッズと作り込まれたデコレーションの数々からは、細部にまで拘るビル・ベンズリーの情熱が感じられ、ホテル内のどこに居ても華やかさとノスタルジーが漂う独特の世界観に没入させられます。



市内観光を終えた一日の締めくくりは、全カペラ共通のゲスト専用ラウンジ、リビングルームにて。毎夕5時半から6時半まで、生演奏を聴きながらシャンパンを始めとしたアルコール飲料とフィンガーフードが振舞われます。
夕食前のこの時間こそ、カペラに滞在していることを実感する優雅なひとときである。そして、カクテルタイムを楽しんだ後は、ホテル最上階のルーフトップテラスを備えたハドソンルームに場所を移してのディナー。ここはニューヨークのダイナミズムが感じられるグランド・セントラル駅をコンセプトにしたダイニング。ニューヨークスタイルのバーで提供されるのはオリジナルカクテルの数々と世界各国から集められたウィスキー、そしてオイスターとキャビアを中心とした新鮮なシーフードとグリル料理を楽しむことが出来ます。看板メニューの”ウイスキーと牡蠣のペアリング”はちょっとエキセントリックなハドソンルームの看板メニュー。今回の滞在では、シーフードプラッターに舌鼓を打ったのでした。


ハドソンルームでのディナーの後は、スタッフにお願いしてワインセラーに案内してもらいましょう。
そこにはもう一つの舞台装置とも言える仕掛けが・・・。
カペラ ハノイは、どこまでも遊び心に満ちていて、時空を超えた世界へと誘ってくれる稀有なホテル。
そして、このホテルを舞台にした主役はゲストそのものだということを再認識させられた二度目の滞在となりました。



そして、もう一つ忘れてはならないのが、2020年にバンコクに誕生したCapella Bangkok(カペラ バンコク)です。
歴史的建造物をトランスフォームしたカペラ ハノイとは全く異なり、サトーン地区の新しい開発エリアに誕生した全101室の都会のオアシスとでも言うべきコンテンポラリーなホテル。開業早々、”No.1 Best Hotel Brand in the World”という世界的なアワードを受賞したことによって瞬く間に世界の注目を集めることになりました。
上層階のスィートに泊まり、チャオプラヤとバンコクの街並みを眺めるのも良いですが、低層階にある広々としたガーデンと屋外ジャグジープール付きのヴィラに泊まればより一層リゾートの雰囲気を味わえるでしょう。

カペラ バンコクでのカクテルタイムは、レストラン”Phra Nakhon”のリバーサイドテラスにて。チャオプラヤ川の風に吹かれながらの夕暮れ時のアペリティフは、何ともムードがあって忘れがたいひとときになった。
ミシュラン3つ星のマウロ・コラグレコによるレストラン”COTE BY MAURO COLAGRECO”で食事を楽しんだ後は、隣接する話題のバー”BKK Social Club”にて。有名ホテルがひしめき合うバンコクにあって、今後益々注目を集めることになるであろう素晴らしいホテルです。


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昨今のホテル事情において、新しいホテルがオープンすると聞いた時、カペラほど心踊らされるブランドはない。カペラ ウブドは、一風変わったテントスタイルのホテルとの事前情報。アジアのテントスタイルのホテルはいずれもそれなりにリモートな場所にあるだけに、果たしてウブドのそれは如何に・・・との思いで滞在した。

ビル・ベンズリーの世界
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