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アストン マーティンに触れる旅
2026.01.29

アストン マーティンに触れる旅

WRITTEN BY HIROSHI.K

アストン マーティンなる自動車メーカーの存在を知ったのは、007の映画がきっかけだった。
初めて目にしたのは、「ゴールドフィンガー」でのアストン・マーティンDB5。以来、最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」に至るまで幾度となく登場したDB5こそ、ボンドカーの代名詞と言えるだろう。
とりわけ6代目ボンド役として登場したダニエル・クレイグが、「カジノロワイヤル」と「慰めの報酬」でDB5とDBSを、「スペクター」でDB10を颯爽と乗りこなすシーンに魅了され、英国車アストン マーティンへの興味は次第に増していった。
アストン マーティンは、1913年の創業以来、高価格帯を中心に走りと美しさを追求する車作りを一貫して手がけているイギリスを代表するスポーツカーメーカーだ。

アストン マーティンに触れる旅のはじまりは、2025年4月に開催されたF1日本グランプリにおけるアストン マーティン パドッククラブへの招待からだった。
鈴鹿サーキットのピットレーン棟2階の一画に設けられたプライベートラウンジは、アストン マーティンのチームカラーである”スターリンググリーン”の装飾が施された特別な空間で、金曜日の予選から決勝までの3日間、この部屋に張り付いた。
全面ガラス張りの室内からメインストレートを駆け抜ける各マシンの様子を伺いつつも、ドアを開ければピットレーンを上から見下ろせる屋根付きテラス席があり、独特のモーターサウンドと空気を切り裂く轟音と共に1コーナー目掛けて突っ込んでいくシーンは画面を通しての映像では決して得ることのない迫力そのものだった。
そして、ラウンジ内では世界を転戦する一流シェフによる料理が連日振舞われた。シャンパンとワイン、食事を楽しみながらのレース観戦はまさしく特別な経験で、この場所でしか味わえない独特の雰囲気を存分に満喫したのだった。

レース前のピットレーンを歩くピットウォークや、調整中のマシンを目の当たりに出来るガレージ訪問といったプログラムも用意されていた。クルーの解説を聞きながらピット作業の様子を間近で見守っていた時は、さながらチームの一員になった気分。
パドッククラブでの滞在はF1ホスピタリティの頂点と評されるだけあり、まさしく至れり尽くせりのサービスを存分に楽しませていただいた。「アストン マーティン・アラムコ・フォーミュラワン・チーム」のこの時点での年間成績は思わしくなかったものの、チームの一員としてクルーと同じユニフォームを身に纏いつつ、3日間盛り上がりの渦中に居れたのは忘れがたい体験となった。
2026年はレギュレーションが大幅に変更され、アストン マーティンは新たなワークスパートナーとして迎えたホンダのパワーユニットを搭載したマシンで参戦する予定である。果たして3月に開催される日本グランプリではどんなパフォーマンス発揮するのだろうか。

そして、旅は6月のイギリスへと続いた。ロンドン郊外のゲイドンに拠点を構えるアストン マーティンのファクトリーを訪問するのが目的だった。
ロンドン市内からモーターウェイを使って2時間程度でゲイドンにたどり着いた。閑散とした田舎町の一画には、サーキットを備えたアストン マーティンの関連施設がいくつも建ち並び、町そのものがアストン マーティンによって構成されているような印象を受けた。
無事ゲートを通過して到着した場所は、一般的な工場のイメージとは遠くかけ離れた、高原に建つ美術館のような芸術的とも言える建造物。エントランスからレセプションへとゲストを導くスターリンググリーンのコリドーは、あの日鈴鹿で見たガレージを彷彿とさせるいかにもアストン マーティンらしい高揚感を掻き立てられるアプローチ。レセプションホールで出迎えてくれたのは、ヴァンキッシュ、ヴァルキリー、ヴァラーの3台と白髪のジェントルマン、ポールだ。

アストン マーティンのファクトリーは、一般見学不可の完全招待制で、訪れた日は唯一のゲストとして迎え入れてくれたのだった。レセプションデスクには、DBシリーズの名前の由来となった有りし日のデイヴィッド・ブラウンが夫人と共に工場を訪ねた時のものと思われる一枚が誇らしげに飾られていた。
内部は撮影厳禁とのことでスマホを預けつつ、最新の市販車がずらりと並んだトンネルを抜けて工場内へと進むことに。まるで現実世界から夢の世界へと続く時空を越えたトンネルようにさえ感じられた。明るく清潔感が漂う広大な工場内はパートによって幾つもの区画に分かれていたものの、ポールの熱心な案内によっての全ての行程をくまなく回ることができた。

日本のメーカーからカイゼンを学んだという生産ラインは最新のテクノロジーによってオートメーション化がはかられつつも、実際の工程は職人技が光る手作業によるものがほとんどで、機械による流れ作業の光景に出くわすことはほぼなかった。妥協を許さない素材と質感、複雑なステッチ、美しく表現されたライン、そして細部に至るまで拘りぬき入念に作業を行う姿勢こそが世紀をまたいで世界のスポーツカーシーンを牽引してきた証と言えよう。
私がファクトリーを訪れた際はDB12が生産ラインに乗せられ、手作業によって生み出される1日の生産台数は60台程度(2025年6月時点)と聞いて、改めてアストン マーティンの哲学と価値を再認識した訪問となった。「ゲイドンの見れば、アストン マーティンの未来が確かな手によって守られていることがお分かりいただけるでしょう。」自信に満ち溢れたポールの言葉だった。

アストンマーティンと007フリークとしてロンドンに滞在する際には、ラッフルズ ロンドン アット ザ オウが最も相応しい1軒と言えよう。
英国政府の中枢であるホワイトホールの中心部にあるこの建物は、旧陸軍省が置かれた1900年代初頭にはMI5とMI6の活動拠点となり、ウィンストン・チャーチルがウォーオフィスにて指揮をとった場所でもある。時を経て2023年に大規模な改修によって、ラッフルズ ロンドン アット ザ オウとして誕生した。かつてジェームズ・ボンドの生みの親であるイアン・フレミングも頻繁に訪れ、007映画の多くのシーンが撮影されたという逸話も持つホテル。

 

そしてこのホテルの地下にある1室こそが、スピークイージーバー “スパイバー”なのである。
地下トンネルの奥に薄暗く照らされたドアの上には部屋番号が示す”007”の文字が。ドアの奥はカーテンで仕切られ、表から内部の様子は伺えない仕立てだ。
ここもまた撮影禁止の秘密の空間である。バーカウンターに並んだボトルの上に吊り下げられているのは、実寸サイズのDB5のスーパーレプリカ。レプリカとは言え、「ノー・タイム・トゥ・ダイ」で実際に撮影で使われた車体と聞いて俄然気分が高揚した。
オーダーしたカクテルは、もちろんヴェスパーマティーニ。機密事項にしたくなるほどユニークかつ至福のひとときを過ごした。

今回の旅を通じて未知なる素晴らしい体験はSNSの中ではなく、エクスクルーシブの世界にこそ存在するものだということを改めて実感した思いだ。

マゼランでは、ゲイドンのアストン マーティン ファクトリーを訪問するプライベートツアーの手配を実施しています。もちろん、ロンドンご滞在中にはスパイバーへもご案内させていただきます。

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