夢のカリビアンブルー
30年前の夏。パスポートを取ったばかりの私は、マイアミのセブンマイルブリッジをオープンカーで走っていた。そこは、とある楽曲のイメージ映像で見た場所だった。
視界に広がる狂おしいほど青く輝いた海を横目に、心地よい潮風を感じながらのドライブは、旅慣れていない当時の自分にとって、この上なく刺激的だった。いつの日か訪れるであろう、青い海の先にある島々に対する特別な憧れを抱いたのを覚えている。
セブンマイルブリッジのドライブから15年。最初にカリブを訪れたのは2006年だった。
タークス&カイコスに誕生したばかりのアマンヤラと、バハマのオーシャンクラブが初めてのカリブに呼び寄せてくれた。
肌に突き刺ささるような強烈な日差しと、それまで見たこともなかった鮮やかな海の色に、”ついにカリブ海に来た!”という実感に酔いしれた。
最初の訪問から10年後の2016年。2度目のカリブはドミニカ共和国にあるアマネラへ。
タークス&カイコスよりも南に位置するドミニカ共和国。カリブ海の島の中でも大きく魅力的な場所が多いにも関わらず、アマネラだけの滞在になってしまったが、その分じっくりとホテルを堪能できた。
同じカリブ海のアマンヤラに通じるスタイリッシュな建築デザインが印象的で、眼下に広がるカリブの海と金色に輝くビーチ、新鮮なシーフード料理、いかにもドミニカらしいラム酒のテイスティングを思う存分満喫できたのは良い思い出だ。
そして今年、3度目のカリブへの旅は、リワード諸島のセント・マーチン島を起点に、アンギラ、セント・バーツ、プエルトリコをアイランドホッピングしながら巡った。
それぞれの島は独自の自然と文化を有しており、ホテルもまたバラエティに富んでいた。シュバル ブラン、キャップ ジュルカ、エデン ロック、ドラドビーチ・・・専らホテルを渡り歩いた。
また同じカリブの島であっても、それぞれの島に暮らす人々のライフスタイルや国民性は違っていて、多様性と奥深さを改めて認識することとなった。
文化は違うが、それぞれの島は同じカリブ海にあって、どの島からも見える海の色は同じカリビアンブルー。アジアの海、フレンチポリネシアやインド洋の青さとは、また違う色彩のカテゴリーに映る。
肌にまとわりつく空気感や受け止める日差しも含めた風景は、まさにカリブ特有のもの。ますますカリブに魅せられて帰ってきた。
マイアミから南へと向かっているカリブ海の旅。既に4度目の訪問は2020年3月と決まっている。
次回は、グアドロープ、セントルシア、マルティニーク、バルバドスを巡る。
いずれは、キューバやジャマイカを旅する日も訪れるだろう。そのときには、カリブ海の島々を巡る旅もひと段落といったところだろうか。
カリブ海への旅は、30年前の夏のマイアミでの思いが手繰り寄せてくれたものだと考えると、誰かが残した「人生は旅そのものだ」という言葉の意味が分かるような気がする。
自分にとっての夢だったカリビアンブルーを巡る旅はもう少し続きそうだ。