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奥深い歴史に彩られたアドリア海の宝石を巡る
2019.11.07
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奥深い歴史に彩られたアドリア海の宝石を巡る

WRITTEN BY NAOMI.T

今回の旅のスタートは、風光明媚なアドリア海沿岸最大の港町、スプリットから。古代ローマ皇帝により造られた宮殿跡が残り、旧市街全体が世界遺産に登録されているクロアチア第二の都市である。1700年以上前の建造物に今も人々が暮らしているというから驚きだ。ローマ建築、ロマネスク、ゴシック、ルネサンスなど様々な時代の建築様式が入り交じった宮殿や教会。古代、中世そして現代と時代と共に変化を重ねながら、発展を続けてきたのである。路地に入ると洗濯物が干され、人々の日常を垣間見ることができる。中世ヨーロッパへタイムスリップしたかのような錯覚をおぼえる、なんとも不思議で魅力的な街であった。

スプリットから車でドブロブニクへ。途中、ドライバーから国境を越えるからパスポートが必要と言われ、同じ国内を移動するのになぜ必要なのかと尋ねると、地図を見せてくれた。クロアチアの沿岸は途中、隣国のボスニア・ヘルツェゴビナを通過する必要がある。その地名はネウム、ボスニア・ヘルツェゴビナで唯一海に面した港町である。車で約10分の距離を走るとまたクロアチアに再入国となる。このような奇妙な形となったのも、また両国の古い歴史によるもの。その昔、紛争の際にネウムは緩衝地帯となり、この時に引かれた国境線が現在まで引き継がれているという。現在はこの国境越えをなくすべく、近くのクロアチアの島に橋を架け、自国の土地を繋ぐ工事が行われている。渋滞の緩和のためにも、早く完成することを願いたい。

「アドリア海の真珠」と呼ばれる断崖絶壁の城塞都市、ドブロブニク。紺碧の海とオレンジ色のレンガ屋根のコントラストが実に鮮やかだ。アドリア海の青さは素晴らしいと聞いてはいたが、実際の深く光り輝くような青さにすっかり魅了されてしまった。真っ青な海にコバルトブルーの広い空が広がり、ため息が出るほど美しい。
城壁にとり囲まれた世界遺産の旧市街は、分厚い城壁と要塞を築くことで街の防衛を固め、独自の共和制を長年の間守り続けることができたのだという。

城壁の上の散策コースに登ると、美しい街とアドリア海のパノラマを見渡せる。歴史的な建物に並んで学校まであり、7世紀のローマ帝国時代かそれ以前まで遡るとされる歴史ある遺跡に、現在も人々の暮らしが息づいているのだ。

どこを切り取っても美しく、まるで映画の世界に迷い込んだかのようなドブロブニクは、一生に一度は訪れたい旅情をそそる街だった。

次に向かうのはモンテネグロのスベティステファン。クロアチアからの国境は二ヶ所のみ、ハイシーズンなど混んでいるときは国境を越えるのに数時間待つこともあるのだとか。
途中、コトル湾沿いの小さな海辺の街ペラーストに立ち寄った。地中海では珍しいフィヨルドのような美しいコトル湾の沖合には二つの小さな島が浮かんでおり、そのうち一つの島には上陸が可能だ。上陸することができた島には、岩礁のマリア教会と呼ばれる教会があり、教会内は天井まで絵画で埋め尽くされ、多くの船乗りが安全を祈願しこの教会を訪れた様子が伺える。

コトル湾の奥には世界遺産に指定された三角形の旧市街があり、前方は海、背後には厳しい断崖と、自然の要塞に守られた小さな街は古くから城塞港湾都市として栄えてきた。
古い石畳が走る旧市街には、ベネチア支配下時代に交易で富を得た貴族たちの邸宅や、400年以上も時を刻み続ける時計台など歴史的建造物が建ち並ぶ。東側にそびえる山には、延々と続く万里の長城のような城壁があり、山頂までは全長4.5キロにも及んでいる。

モンテネグロのモン・サン・ミッシェル、アマン・スべティステファン。もともとは漁村だった出島で、島に渡れるのはアマンのゲストのみ。
島につながる細い道を渡ると、赤レンガ屋根の建物、路地や階段、教会など中世の村そのままの雰囲気が残っている。
島に巡らされた迷路のような路地を、地図を持たずに散策する。迷子になりながらもだんだんと道が分かってくると、まるで島の住人になったような気分になる。

対岸のビーチ沿いには、かつてのユーゴスラビア王国王妃の夏の別荘だった瀟洒なヴィラ・ミロサーが建ち、その奥にはスパエリアとアマンゲストのプライベートビーチがある。
ビーチは淡いピンク色をした小石の砂浜で、海の透明度は非常に高く、紺碧の海はビーチに近づくにつれ透き通ったエメラルドグリーンに変わっていく。
夏のハイシーズンは海水浴を楽しむ人々で大いに賑わう。海に入れるのは10月初旬までとなり、シーズンが終わると島側には泊まることができないのでご注意を。

アドリア海に沈む夕日に照らされ、ビーチや山と街がオレンジ色からピンク色に染まっていく。ゆっくりと美しいサンセット眺めながら地元のワインを味わう、心落ち着く優雅な時間が待っている。

長い歴史のある両国、少し歴史を知っておくとさらに趣深い歴史探訪を堪能できる。歴史に思いを馳せながら、ロマンティックな街並みを散策してみては。

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