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“サスティナブル ステイ” in シックスセンシズ ベトナム
2019.12.09
DESTINATIONS, ASIA

“サスティナブル ステイ” in シックスセンシズ ベトナム

WRITTEN BY YURI.Y

プラスティックゴミを無くす動きをよく耳にする昨今。数年前からサスティナビリティをテーマに、その先陣を切っているリゾートがシックスセンシズだ。
各リゾートに、「アースラボ」を設置し、サスティナビリティへの積極的な取り組みと教育・啓発に専念し、資源やエネルギー消費量の削減、地産地消、地域社会や生態系をサポートする活動を行っている。1日のエネルギーや水の消費量、太陽光パネルから得たエネルギー量、敷地内で採れた卵の数までもが、毎日正午にパネルに示されるので、宿泊客はリゾート内の現状を具体的な数値として見て、感じることができる。

今回、ベトナムにある2つのシックスセンシズに滞在する機会を得た。まず訪れたのは、ベトナム・ニャチャンの半島に聳え立つシックスセンシズ ニンバンベイ。ホーチミンもしくはハノイから飛行機で1時間程度、その後、車と専用ボートで島へ向かう。リゾートはできるだけ自然をそのまま残し、地形を活かして造られているため、大きな岩山の中にヴィラが点在している壮大な光景をボートから見ることができる。屋根や柱は、サゴ椰子など自然の資材を使用し、ニスを塗らず、丁寧にヤスリをかけている。それもあってか、施設内のどこにいても温かな自然の風合いを感じることができる。

ストローは竹製。ルームキーのホルダーや、案内板、あらゆる物が木製だ。水などの液体はすべてリゾートオリジナルの瓶に詰められており、私が持ち込んだ500mlのペットボトルに違和感と罪悪感さえ覚えた。
持ち込んだプラスティック製品は、ごみ箱に入れずに、部屋に用意されている専用の布製巾着に入れ、持ち帰ることが推奨されている。すべては、島の環境保護のためだ。

珊瑚の生態系保護にも力を入れている。活動開始から現在までに80%以上の珊瑚の保護に成功しているそうだ。
リゾートに滞在すると、“コーラルプランテーション”という珊瑚の保護活動を体験することができる。私も2つの珊瑚を、専用の金属のプラントに括り付け海に還した。金属のプラントに括り付けることにより、珊瑚の成長が外敵により妨げられることを防ぐ。元気に育って欲しいと願いながら、珊瑚を海に還した。

レストランでは、敷地内のオーガニックガーデンで採れた野菜や果物、マッシュルームハットで育てられたキノコが提供される。
また、チキンファームではニワトリが飼育されており、産みたての卵を自らの手で取り、朝食で料理してもらうことも可能だ。これぞ“地産地消”。私は、オムレツにしてありがたくいただいた。

次に、ホーチミンから飛行機で45分の“ベトナム最後の楽園”とも呼ばれるコンダオ島にある、シックスセンシズ コンダオを訪れた。
ホーチミンから定期便ではなくプライベートジェットで島に向かうことが出来るようになり、より快適なリゾートへのアクセスが可能となった。

ここでは、リゾート内にある浄水施設で浄化された水が、瓶に詰められていく様子を見学した。使い終わった瓶が洗浄され、再び浄水が詰められ、日付シールが開栓部に貼られ、各部屋へと提供されていく。これにより、一カ月10,000本のプラスティックボトルの削減につながっているという。瓶からいただく水は、熱くなった身体に染み入り、一段と美味しく感じられ、さらに環境保護にも貢献でき、一石二鳥だ。

そして、シックスセンシズ コンダオでは政府の特別許可を取り、ミドリウミガメの生育保護活動も施設内で行っている。リゾート内でウミガメの卵を保護し、孵化を待つ。夜のうちに孵化したウミガメの赤ちゃんを海に帰す“タートルハッチング”は、滞在した際、タイミングさえ合えば参加可能だ。滞在中、参加希望を伝えておくと、孵化があった場合、朝6時に電話で知らせてくれる。4~9月が孵化のシーズンだがいつ孵化するかはわからないため、“タートルハッチング”の実施は、カメのみぞ知るというわけだ。

さらに、シックスセンシズでは近年“Grow with Six Senses”と題して、教育活動にも力を入れている。リゾートに滞在した子どもたちはもちろん、コンダオ島内で暮らすローカルの子供たちにも“サスティナビリティ教育”を行っている。
滞在者と地域の子供たちが英語でコミュニケーションとる機会を設けたり、プラスティックゴミを減らすことが生態系保護に繋がることなどを、楽しく伝える活動を行っている。宿泊者にとっては、滞在が学びの場にもなるということだ。

私も「アースラボ」で、オーガニックガーデンで使用されている肥料作りを体験した。レストランで利用した卵の殻などを使って、オーガニック肥料が完成した。これが、オーガニックガーデンで栄養となり、おいしい野菜や果物の栽培に繋がる。その後レストランでいただいたサラダは、一層美味しく感じられた。

今回滞在したベトナムの2つのシックスセンシズでは、共通して“サスティナビリティ”への熱い思いを感じることができた。しかしその思いは、決して押し付けられることはなく、義務や節約というイメージもなく、実に心地よく、そして自然に受け入れられた。
リゾートでの滞在が、生活を変えるきっかけになることを体感できた。この経験をひとりでも多くの方々にしていただくことが、“サスティナビリティ”の実現に繋がると信じている。