ワインと巡る日本の旅【後編】
勝沼での宿は、甲州市の奥座敷である笛吹川温泉別邸坐忘にとった
三千坪の敷地にわずか19室の客室、天然温泉の露天風呂付離れや
この宿に泊まる魅力の一つは、現存する日本最古のワイナリーと言
特に印象的だったのは”煮貝”。煮貝とは醤油樽に漬けた鮑が、江戸時代に駿河湾から海の無い山梨に馬の背中で揺られてくる間に甲州で適度な味わいになったというストーリーを持つ一品。偶然の産物が甲州名物となり、今尚愛され続けている。
甲州ワインとのマリアージュは見事としか言いようがなく、歴史ある”まるきワイン”とのペアリングを心行くまで堪能した思いだ。そして締めくくりは、郷土料理の”ほうとう”。
地産の食材と伝統にこだわった宿自慢の茶料理に舌鼓を打ち、勝沼で生まれ育ったワインとの妙を楽しんだひとときだった。
食事の後はライブラリーラウンジへ。ワインに纏わる書籍や雑誌に
ワイナリーにはそれぞれの思いやストーリーがあり、それが瓶に詰
「 ワイン造りとは、ブドウの力を最大限に引き出してあげること。有名ワインを造ることが目的ではなく、 ただ良いブドウと良いワインをつくること。そして余市の農家の人達の先駆者でありたい。」と語るのは、「ドメーヌ・タカヒコ」の曽我貴彦 さん。
「noma」で日本ワインとして初めてリストに名を連ねたワインの作り手だ。
1本のワインに注ぎ込む郷土愛と、余市との絆を大切にする思い。時流に流されることなく、揺るぎない信念を持って進む人達の想いは何よりも強い。
夏の終わり、出会いとストーリーを求めて収穫前の北海道余市町へ
曽我さんは、栽培に適した地を求め、もっとも条件に見合う余市登
「ワインは風土と感性を詰めたもの。? ”日本のワインはおもしろい”と思ってくれる人が増えたらいい 。」
ワイン造りの為に育てるブドウは、ピノ・ノワールだけと最初から決めていたと言う。雨が多い気候では良質なブドウを育てることが難しいとされているピノ・ノワールを、あえて有機栽培で育てている。
収穫したブドウはまずタンクに入れ、放置したままゆっくり全房発酵させる。この方法は、かのロマネコンティと同じ手法で、日本では当時この醸造手法を持ち込む発想はなかったとのこと。
テロワールの特性と共に、毎年降る雪の量と質を織り込んだ余市独特の手法によって、大手では造ることができない独自のワインスタイルを確立したのだった。
「和を表現するのがコンセプト。ナチュラルワインで、里山を歩い
出汁のような旨味があり、一口飲めば、感動の世界が広がりますよ
畑にこだわる農夫として、理想の世界を探し求めていきたい。そし
同じく余市登、ワイナリーから徒歩5分にある「余市SAGRA」
木の香りに包まれた2室の客室とレストランは、お洒落で余市の自
食事は、その日に取れた北海道の食
「ドメーヌ・タカヒコ」はもちろん、「ドメーヌ・アツシスズキ」
「余市登に魅力を感じ、移住してきて更に想いが強くなった。ワイ
そして生産者とお客様の橋渡し的存在でありたい。」オーナーシェ
「ドメーヌ・タカヒコ」を始め、北海道の上質なワインと旬の食材
東京、 パリ、南仏の著名レストランで修業し、2010年に故郷北海道に
そんな探求心によって曽我さんをはじめとする”思い”を共有でき
五感に働きかける演出は素晴らしく、旬の食材をふんだんに使った
「故郷への想いと、故郷から伝える想い」深い郷土愛と流行に流さ
ワインと巡る北海道の旅を通じて感じたのは、触れたものが広大な
所変わって南国は宮崎。フェニックスの木が立ち並ぶ南国の宮崎で
高温多湿でたびたび台風の直撃を受ける、およそワイナリーのイメ
快晴の青空の下、海岸からもほど近く、標高150メートルの高台
もともと生食用のブドウ栽培が盛んだった都農町では、ワインを造
九州の土地は火山灰土壌で排水性は優れているもののカルシウムや
元々の土壌の特質から生まれてくる繊細で華やかな香りに加えて、重みと複雑さをもった上質のシャルドネを造り上げているのだとか。
ワイン造りは土作りからとはよく言ったもので、ワインにはその土地の特色が必ず反映されるもの。
土地の魅力を最大限に発揮しながら世界に通用する品質のワインを作るために、数々の試行錯誤を繰り返しながら今もなお進化しようと努力する。
これぞワイン造りのロマンで、洋の東西を問わず人を惹きつける魅力なのだと改めて感じさせられた思い。
海から吹く心地よい風がもたらす海のミネラル成分も武器にした都
流石南国生まれ。樽熟が一目で分かるほど美しい飴色に輝き、トロ
今回の訪問の思い出と、造り手の情熱を感じながら心して楽しませ
”素晴らしきかな日本ワイン”今回の旅を通じて感じた率直な思い
今一度感じる”素晴らしきかな日本ワイン”いつもとは違う夏がも
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今回訪れた4つの場所は、言わば“日本海が育むブドウ”と生きるワイナリー。“ワインと巡る日本の旅”【続編】をお届けします。