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Joali Being & Joali Maldives
2023.05.30
FOOD, HOTELS, BEACH

Joali Being & Joali Maldives

WRITTEN BY WRITTEN BY HIROSHI.K

パンデミックによって世界のトラベラーの動きを封じられていた間にも、モルディブのラグジュアリーリゾートシーンは着々と進化を遂げていたようだ。規制が緩和され始めた2023年3月、話題の二つのリゾートを体験すべく、6年ぶりにモルディブに出向くことにした。
2018年末にオープンして以来、瞬く間に世界中の業界仲間の間で良く耳にするようになった話題のリゾート、ジョアリ モルディブと、同じオーナーの元で2021年末にオープンしたばかりのジョアリ ビーイングでの滞在が目的だった。
マーレでの入国プロセスは至ってスムース。搭乗客は各リゾートのスタッフに出迎えられ、それぞれの島へそれぞれの手段で去っていくのはいつもと同じ光景だ。

最初に向かうジョアリ ビーイングまでは水上飛行機で40分。竣工したばかりのトランスモルディビアン航空のターミナル内、機体が並ぶ桟橋を見下ろすことができるジョアリのラウンジは快適そのもので、これから滞在する2つのジョアリのクオリティの高さが想像できるくらいにリラクゼーションに満ちた空間となっていた。
ジョアリ ビーイングの象徴でもあるトルコ人アーティスト、セッキン・ピリムによる”Gate of Zero”と名付けられた巨大なモニュメントが出迎えてくれ、そのゲートがモルディブ初となるウェルビーイングアイランドへの入口となっていた。

11ヘクタールの島は、全ての施設がバイオフィリックデザインの原則に基づいて設計されているとあって、島内には背の高い木々が多く、他の島に比べて緑が多い印象だ。
全室プライベートプールが付いたヴィラは68室で、内ビーチヴィラが33室で水上ヴィラが35室。広さ230平方メートル以上というヴィラの内部は、淡いパステルグリーンとベージュを基調としたシンプルで優しさを感じるデザインで、テラスに出ればインフィニティプールとエメラルド色のラグーンが美しいモルディブの風景が広がっている。

ジョアリ ビーイングでの滞在は、ウェルビーイングコンサルタントの一人、管理栄養士による食事や睡眠といった普段の生活習慣、ストレスの有無や性格に至るまでの綿密なカウンセリングと、最新機器を使ってのスキャニングから始まった。
滞在中、スタッフから何度も聴いた”4ピラー(4つの柱)”を構成するマインド、スキン、マイクロバイオーム、エネルギーを軸にしたウェルネスプログラムや食事を楽しみながら体験することによって、”生まれ変わるかのごとく調和の取れた変容の世界へと誘う”というのがコンセプトとのことで、その言葉を裏付けるかの如く、過去に経験したウェルネスリゾートとは次元が異なる圧倒的な規模と充実度に驚かされることとなった。

ウェルビーイングの中心を担う施設”アレカ”は深い静寂に包まれた異空間の集合体で、39室のトリートメントルームとトランスフォーメーションスペースと呼ばれる施設があり、ここでは科学セラピー、診断サービス、学習プログラム、トレーニングといった、さまざまな体験が可能なジョアリ ビーイングの聖域とも言うべき場所。
”コア”は、プライベートトレーニングルーム、多目的スタジオ、フィットネスルームを備えたフィットネススペースで、”カアシ”は、ワツセラピーやソルトインハレーションといった水による癒しを体験するためのプールや塩で出来たソルトルーム、和漢セラピーの為のハイドロセラピースペースとなっている。

”アクタル”は、ハーブ、スパイス、エッセンシャルオイルを使った自然療法を専門に扱うハーブロジストが常駐するハーボロジーセンターで、ハーブティーの効能を知る事はもちろん、天然のボディクリーム、フェイスマスク、マッサージオイルの作り方を学んだりするワークショップも行っている。ここで体験したセラピー効果を目的としたオリジナルハーブティーを造るプログラムは、好みのハーブを調合する実験さながらの内容で、出来上がったハーブティーの味わいと共に何とも記憶に残る体験となった。そしてもう一つ、音を使ったサウンドバスメディテーションも、またユニークな体験だった。
サウンドセラピーホール”セダ”は、音と振動を使ったハーモニーによって、心のバランスを整えるサウンドヒーリングを体験できる施設。目を閉じつつ音と振動を感じながらの瞑想は思いのほか心地良く、いつしか癒しの境地に。自然のエネルギーと共に、音によるヒーリングを体現することが出来たのだった。

水、音、自然と人間の叡智によって生み出されたウエルビーイングアクティビティのデイリープログラムは、無料のものと有料のものを含めて1日6種類用意されていて、これとは別にシュノーケリングやフィッシング、ドルフィンクルーズといったデイリーアクティビティプログラムも日替わりで毎日6つ用意されている。足して1日12プログラム。
これらに加えて、スパトリートメントやパーソナルプログラムを組み合わせることになり、滞在中はなかなか多忙な一日を過ごすことになるだろう。

半屋外の開放的な空間を持つシグネチャーダイニング、”FLOW”では、ユニークなコンセプトと共に提供される素晴らしい食事を滞在中楽しませてもらった。
青色のシーフードステーション”Su”、緑色のベジタリアンメニューを提供する”Plantae”、赤色の肉料理がメインの”B’Well”とキッチンステーションは色によって分かれていて、それぞれのメニューには、コンセプトである4つの柱のどれに効果的かの表記に加え、カロリー、炭水化物、タンパク質、脂肪の4つの含有量が記されているのもジョアリ ビーイングならでは。

オーシャン・サラ・ダイニングは、ビーチの上に備え付けられた鉄板焼のプライベートダイニングで、魚介類と和牛のグリルが楽しめる特別な場所。プールサイドの”MOJO”もまた開放感のあるトロピカルな雰囲気が漂うダイニングスペースで、カレーやパスタ、バーガーといったカジュアルなランチが楽しめる。
リキュールではなく、壁一面にティーポットが並べられた”SAI”は、世界各地から選りすぐられた72種類ものお茶を、専属のティーソムリエによってもてなしてくれる島唯一のバーだ。南国の昼下がり、ティーソムリエの蘊蓄を聞きながら頂く緑茶は健康的に感じれて良いものだ。

世界にはアルコール摂取や食事に制限を設けるウェルネスリゾートもある中、ジョアリ ビーイングではゲストの趣向を尊重し、無理強いすることなく選択肢をゲストに委ねるといった自由度の高さも同時に感じる事ができた。
当初、ウェルビーイングの世界的な評価を聞いた時には、正直どこまでストイックなリゾートなのかと半ば恐れる思いでの訪問だったが、実際には想像以上にフレキシブルで思いのほか快適に過ごさせてもらった。

ジョアリ ビーイングを後にして向かった先は、同じラア環礁にあるジョアリ モルディブ。10キロ程度しか離れておらず、スピードボートでわずか15分程度の移動でジョアリ モルディブのジェティに到着した。
モルディブ一の長さを誇るという3キロにも及ぶ水上桟橋と、桟橋の両脇に先端までズラリと並ぶ水上ヴィラの風景が印象的。チェックインした水上ヴィラは、ジョアリ ビーイングのコンテンポラリーなデザインとは全く異なり、重厚な木材と自然素材を多用した空間に伝統的な彫刻を取り入れた、ゴージャスさの中にも温かみを感じる落ち着いた雰囲気が漂っていた。

桟橋の付け根、島の入口にはメインプールとプールサイドバー”MURA”があり、ここのテラス席からのぞむリゾートと海の景色があまりに美しく、ジョアリ モルディブでの滞在中最も長く過ごした場所となった。
ウィスキー、ジン、リキュールのボトルが所狭しと並べられたバーカウンター、BGMにはアップテンポなクラブミュージックが流れ、MURAのメニューにはメキシカンタコス、フィッシュ・アンド・チップス、ジョアリーバーガーといった”リゾートらしい”メニューが並んでいた。もちろん、ここにはカロリーの表記はない。ジョアリ ビーイングの後の滞在だけに、一層開放的な気分に感じられた。
チェックイン早々、ジョアリ モルディブとジョアリ ビーイングは、似て非なるコンセプトもスタイルもまったく異なるリゾートだということを思い知らされたのだった。

しかし、アート、マリンアクティビティ、エスパスパ等、ジョアリ モルディブを楽しむ要素はふんだんにあるものの、最大の特徴は、クオリティが高くバラエティに富んだダイニングシーンにあった。

東南アジア・中華・地中海料理を中心に、インターナショナル料理を提供するメインレストラン”Vandhoo”では、ビュッフェによる朝食とアラカルトのランチを楽しむことができ、本格イタリアンの”Bellinis”は、ディナーのみの対応で、とりわけシーフードのメニューが充実。
TUH’Uは、砂浜にある屋外レストランで、地中海、アラビック料理がメイン。
そしてジョアリ モルディブが誇る水上に建てられたシグネチャーダイニング”SAOKE”。最近では珍しくはなくなったモルディブでの日本食も、”SAOKE”での料理のクオリティの高さとメニューの充実度は特別。多種多様な日本酒のボトルが並べられたファサードを抜けると、水上に浮かぶ吹き抜けのダイニング空間が広がっていた。和の要素を取り入れた斬新なインテリアは、日本人レストランデザイナーである村松功勝氏の設計によるもので、料理の監修は山本秀正氏が手掛けている。

イタリアンとフレンチでのキャリアを武器に繰り広げられるフュージョン料理はユニークで目を引くものばかり。寿司、天婦羅、鉄板焼き、炉端焼きは、それぞれ異なるカウンターで専任シェフが腕を振るっていた。各地から取り寄せられた日本酒とワインのラインアップも素晴らしく、あまりの完成度の高さに、インド洋の島に居ることを忘れてしまいそうなほどだった。
ウイスキー&シガーラウンジ、チョコレート&アイスクリームショップの”LA JOIE”、400種類のストックを持つワインセラーといった施設もまた、この島での滞在を一層魅力的なものにしてくれた。
また、プライベートな砂浜でのバーベキュー、シェフズガーデンでのブランチ、マンタレイツリーハウスでピクニックといったアレンジは、ディスティネーションダイニングと呼ばれ、ゲストは好みの食事を思い思いの場所で楽しむことができる。

プライベートで映画を楽しむプライベートシネマのセッティングも可能ということで、滞在中世話をしてくれたパーソナルバトラーの素晴らしいホスピタリティと共に、ジョアリ モルディブの可能性を感じさせてもらった。
モルディブにおけるラグジュアリーリゾートの新たな選択肢として登場したジョアリ ビーイングとジョアリ モルディブの2つの最新リゾートは、それぞれが異なるユニークなコンセプトと、独創性をもった島だということが滞在を通じて感じた思い。
今後モルディブのラグジュアリーホテルシーンの一角を担う新しい風となるだろう。

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