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魅惑のゴリラトレッキング
2020.01.08
ACTIVITY

魅惑のゴリラトレッキング

野生のマウンテンゴリラと出会える場所がある。
目指すは、ルワンダの北西部に位置するボルケーノ国立公園。アフリカ中央部に広がるヴィルンガ山地一帯は、世界で唯一野生のマウンテンゴリラが生息している場所として知られる。ボルケーノ国立公園は、ヴィルンガ山地に8つある火山のうち5つをカバーした、160平方キロメートルの広大な熱帯雨林のジャングルである。ゴリラトレックの起点となるボルケーノ国立公園までは、ルワンダの首都キガリから、車で約3時間。ルワンダは、“1,000の丘が連なる国”と称されるだけあって、道中は風光明媚な峠の風景と曲がりくねったワインディングロードが続く。

キガリの喧騒といくつかの小さな町を通り過ぎ、車窓からの眺めは次第にのどかな農村から緑豊かな大自然へと変化し、辿り着いた場所が2019年にオープンしたシンギタ クウィトンダ ロッジである。3,000メートル級の山々の麓に佇むシンギタ クウィトンダ ロッジの客室数はわずか8室で、シンギタスタンダードとも言うべき洗練された食事とワイン、パーソナルなホスピタリティによって、ジャングルの只中とは全く感じられないほど快適な滞在となった。タンザニアや南アフリカのシンギタと違う点は、ここには朝夕のゲームドライブはなく、早朝に出発する一日一回、限られたゲストだけが体験できるゴリラトレッキングがメインアクティビティとしてあるということだ。

シンギタ クウィトンダ ロッジのコンサベーションルームは、ゴリラトレッキングのブリーフィングが行われるアクティビティルームになっている。アカデミックな雰囲気が漂う室内には、初めてマウンテンゴリラの姿を写真に収めて世界に存在を知らしめたイギリス人写真家、ボブ・キャンベルが生前使用したカメラや鞄といった所蔵品が展示され、ちょっとしたミュージアムさながら。夕食前のアペリティフを頂きながら行われたゴリラトレックに向けたブリーフィングでは、アクティビティガイドによってゴリラに遭遇した時の注意点がスライドを使って説明され、翌日に控えたゴリラトレックへの期待と興奮が一気に高まる。ロッジでは、シューズ以外の全てのトレッキング用具が揃えられていて、ブリーフィング後にそれぞれサイズ合わせをしてトレッキングにのぞむ。

翌朝の出発は6時40分、前日にメニューを選んだランチボックスをピックアップして車に乗り込み、ボルケーノ国立公園のゲートへと向かう。国立公園への事前登録によって許可されるゴリラトレックへの参加人数は、1日最大80名。到着してから1組8人のグループに振り分けられ、実際に案内してくれるトレッキングガイドによって直前ブリーフィングが行われる。そして、再度車に乗り込み、実際にゴリラが居るであろうエリアに入るためのポイントへと向かう。当日のポイントは、ゴリラを追跡する専門家のトラッカーによって事前にチェックされてはいるものの、野生のゴリラには根城がない為、どの場所にどのタイミングで遭遇できるかは予測不能、“運”と“体力”次第ということらしい。トラッカーと荷物を持ってくれるポーターと合流し、いざマウンテンゴリラが待つジャングルの中へ。

2名のガイドと3名のトラッカー、8人のポーターを従えて一列となり、亜熱帯植物が生い茂るジャングルへと分け入る。ぬかるんだ泥によって足元は滑りやすく、先頭のトラッカーが行く手を阻む草木の枝葉を鉈で切り落としながら一歩ずつ歩を進める。ここを訪れたほぼ全てのゲストがゴリラと遭遇を果たしているとは言うものの、短時間でゴリラを見つけるには経験豊富なトラッカーの感覚と、勘が頼りになる。午前中に遭遇できれば有難いと思いスタートしたが、幸運にも1時間半程度歩き進んだ場所で、生息が確認されている10のファミリーのうちの1つと遭遇することが出来た。

匂いと音でその存在をいち早くキャッチしたトラッカーが指さす先には、紛れもなく黒く動くゴリラの姿があった。感動と緊張、そして僅かな恐怖が心に湧く。最初は1頭だけ確認できたゴリラが、2頭、3頭と徐々に姿を現し、やがてそれが一つの集団であることに気付く。群れには必ず1頭いると言われるオスのリーダー格のシルバーバックは、その名の通り背中の体毛が銀色になったボスで、群れの中にいる存在をしっかりと確認できた。中には生後数か月という、何とも愛らしいゴリラの赤ちゃんの姿も!

木によじ登ったり、ひたすら草木を食べ続けたり、じゃれ合ったり、時にはこちらのすぐ側をかすめるように行き来したり、ゴリラの一挙手一投足に目を奪われ、カメラのシャッターを切りながら飽きることなくゴリラとの時間を過ごす。意思疎通はできないものの、不思議とコミュニケーションが取れたような気さえするのも、他の野生動物とは違いマウンテンゴリラが人間に最も近い哺乳類だからなのかもしれない。

時間をかけてゴリラに人間の存在に慣れさせる「人付け」がされているとは言え、過度なストレスを与えないよう、ゴリラとの“面会時間”は1時間と決められている。1時間強ゴリラファミリーとの時間を共有することができたが、時間が経つのを忘れるほど熱心に魅入ってしまった。単に見たということではなく、相手と出会い、同じ時間を過ごせたと感じることができたのも、きっと人間に最も近いと言われるマウンテンゴリラだからなのだろう。彼らとの別れを惜しみつつ、ジャングルを後にしたのは正午前だった。

直近のWWFの報告によれば、絶滅危惧種に指定されていたマウンテンゴリラは、一時500頭ほどに減ったものの、長年の保護活動の成果があって900頭ほどまでに個体数が回復したと言う。コンサベーション活動を重要視するシンギタでは、シンギタ クウィトンダ ロッジでのゲストの滞在とゴリラトレックへの参加を促すことによって、保護活動を今後もサポートしていく考えだ。