magellan beyond immagination

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Never Ever Shinta Mani!
2019.09.20
DESTINATIONS, HOTELS, ASIA

Never Ever Shinta Mani!

WRITTEN BY HIROSHI.K

世に言う”グランピング”とは似て非なる異次元の空間を創るデザイナーがいる。ビル・ベンズレー、その人が手掛けたテンテッドキャンプに泊れば、誰もが想像を越えた新境地へと導かれるであろう。
フォーシーズンズ テンテッド キャンプ ゴールデントライアングルが誕生したことは、ビル・ベンズレーの名を一躍有名にしたエポックメイキングな出来事だった。その後、テンテッドキャンプスタイルはラグジュアリーホテルの一つのスタイルとしての地位を得たように思う。同じくビル・ベンズレーが手がけたカペラ ウブドに続いて、2019年の夏にカンボジアに誕生したばかりのシンタマニ ワイルドに宿泊する機会を得た。

航空機でのアクセスが便利になり、世界がどんどん近くなる一方で、驚きと感動を与えてくれるリゾートは、いつも辺境に誕生する。プノンペンから車で3時間のシンタマニ ワイルドへのアクセスは、それを聞いただけで期待が高まり、この場所を訪れる動機のひとつになった。人里離れた熱帯雨林のジャングルがシンタマニ ワイルドのフィールド。ビル・ベンズレー自身がオーナーの一人というまさに彼の渾身の作品と言うべき聖地だ。

サファリルックのスタッフに出迎えられ、到着早々待ち受けているのは高さ20メートルから滑降するジップラインによるチェックインエクスペリエンス。2つのジップラインを乗り継いだ先には、冷えたおしぼりとウェルカムドリンク手にしたスタッフが待っていた。そうして、シンタマニ ワイルドが提唱するアドベンチャーライフの幕が開く。

40エーカーの土地に点在する15張のテントが、シンタマニ ワイルドでのゲストルーム。絵画やディティールまで造り込まれた家具が配され、テントでありながらまるでクラシックホテルかのような佇まい。エアコンとファンによって適度に温度が保たれたテントは、熱帯雨林の中とは思えない快適な空間だ。贅沢な仕様のダブルシンクに、リビングソファとダイニングテーブル、冷凍庫を備えたミニバーまでも配され、バスタブはテントから突き出たウッドデッキにデザインされている。誰もが思い浮かべる“テント”のイメージを大きく覆すビル・ベンズレー ワールドを体感することができる。

滞在中の夕暮れ時は、決まってランディングゾーンバーへ。そこはカウンター席4つのみの、まるで時空を超えたかのような不思議な空間。そう思わせてくれたのは、クラシカルにデザインされたアンティークのインテリアと、都会の雰囲気を醸し出す一流のミクソロジストが織り成すギャップの妙である。人の暮らしとは遮断された空間の中、目の前のカウンターにはミクソロジストによって生み出される独創的なカクテルの数々。手の込んだミクソロジーカクテルと粋な会話に彩られて夜が更けていく。

シンタマニ ワイルドでは、固定概念にとらわれない遊びごころこそ、ビル・ベンズレー マジックの真骨頂だと思い知らされた。

彼の作品は、もはやホテルともリゾートとも呼べない領域だとさえ感じる。シンタマニ ワイルドもまた、今後世界で語り継がれる場所になるだろう。